阪神・大山が有言実行した2つの数字 飛躍への課題を克服した証

 昨季、28本塁打で巨人・岡本らと本塁打王争いを演じた阪神・大山。19年シーズン終了後から20年シーズンの開幕まで、本人が課題としていた“数字”がどうだったか気になった。口にしていたのは空振り率と四球数。それは矢野政権1年目、開幕から4番で起用されたシーズンの反省点。“答え合わせ”をすると、見事に克服されていたことが分かった。

 (1)空振り率(19年・143試合、587打席で37・8%→20年・116試合、471打席で45・2%)

 19年シーズンに初球の厳しい球に手を出したり、バッティングカウントからミスショットするケースが目についた大山。バックネット裏から見ていると、空振りしようとしたスイングにボールが当たってしまうような印象があった。

 甲子園での秋季練習中に直接、本人に「打つのでは無く“当たってしまった”打球もあったのでは?」と聞いた。すると「本当はファウルにしようと思った打球がフェアゾーンに飛んでしまったり。空振りしようと思ってもバットに当たってしまう。そういう部分が不器用なんで」という答えが返ってきた。

 だからこそ「空振りできる技術を身につけたい。データを見ると、中軸を打っているバッターって空振りが多いんです。自分はその数が少ない」と課題を口にしていた大山。確かにデータを見ると各球団の4番打者は空振り率が45~60%で推移。例え空振りしても、狙った球をフルスイングで確実に仕留め、ヒットゾーンやスタンドへ打球を飛ばしていたことになる。

 大山が追い求めた空振りできる技術-。20年シーズンの数字をひもとくと、前年の37・8%から45・2%に上昇していた。空振りした回数もヤクルト・村上、DeNA・ソトに続くリーグ3位。その裏で主要打撃3部門の数字はいずれもキャリアハイをたたき出し、長打率は19年の・401から・560に上昇した。

 例え空振りしても、いかにフルスイングでしっかり捉えた打球が多かったかが分かる数字。開幕前に挙げていた課題を見事に克服したことになるが、決して空振り率だけではなかった。もう一つ、伸ばした数字がある。

 (2)四球数(19年587打席で39四球→20年471打席で41四球)

 オープン戦最終戦となった昨年3月末、神宮でのヤクルト戦後だった。明らかに猫背を矯正した打撃フォームが印象に残り、本人へ聞くと「去年は打ちたい、打ちたいという意識が強くなりすぎて猫背になるクセがあった。今もそこは意識しているんですけど、自分がしっくりくる形でやっています」との答えが返ってきた。

 真っすぐ立つことでボールの見え方が変わっただけでなく、追い込まれて手を出していたボールに対してもバットが止まるようになったという。

 「自分の課題として四球の少なさがあったと思うんです。フルカウントから三振するケースが多かった。その我慢がオープン戦中盤からできるようになってきた。打撃の幅が広がったように思います」

 シーズンに入ってからもしっかりと粘れる打席が増えた。四球獲得率は前年と比較しても上昇。相手投手に投げさせた投球数でもセ・リーグ上位に食い込んだ。フルスイングできるボールを待てていたという証しにもなる。

 前年シーズン終了後に課題を洗い出し、オフ期間で克服できるようトレーニングに励み、そしてシーズンで結果を出す。ルーキー時代から大山を見てきたが、プロ野球選手にとって“必要なサイクル”を地道に、そしてしっかりと果たしているように感じる。

 コロナ禍で取材制限があるため、昨季の課題と今オフの狙いは聞けていないが…。入団1年目から愚直にやっていく姿を見てきた。おそらく4番として迎える2021年シーズン。さらに成長した大山の姿がきっと、見られるはずだ。(デイリースポーツ・重松健三)

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