岡田彰布氏 阪神は投手起用で勝ちに行くという意思表示が必要

 阪神は今季も悲願の優勝には手が届かなかった。チーム成績は2位ながら、巨人には8勝16敗と大きく負け越し、7・5ゲーム差の独走Vを許した。宿敵を上回るには、どこに課題があるのか。優勝へのカギは何か。監督経験者らレジェンドOBが分析する。まずは2005年の優勝監督・岡田彰布氏(63)の声を3回連載で。

  ◇  ◇

 投手陣で来季のカギを握るのが、勝ちパターンのピッチャーだと言える。今年、セーブ王を獲得したスアレスが残留するかどうか不透明な状況。仮に流出してしまえば現有戦力の布陣を見る限り、大きな不安が残る。

 終盤の勝ちパターンを担う投手たちには、単に相手を抑えるだけではない“効果”がある。それは自チームに対して「この試合を勝ちにいく」という強い意思統一ができること。今年、野手陣からそれだけの信頼を勝ち取れたのはスアレスのみだったのではないだろうか。

 そして終盤に逆転負けを喫すると、チームが負うダメージというのは計り知れない。今年の開幕戦がそうであったように、西勇から岩崎にスイッチして逆転負けを喫した。そこから20試合は、明らかに尾を引いたようなゲームが続き、スタートダッシュに失敗してしまった。

 だから首脳陣はオフの間にイメージを描き、「この選手を勝ちパターンで使う」とキャンプの時点で固めておかなければならない。そして優勝するためには、勝てる試合を確実に取りにいくという強い覚悟、はっきりとした意思が首脳陣に必要だ。

 あわよくばこのピッチャーで抑えてくれないだろうか-。そういう緩さに相手はつけ込んでくる。そして取り返しのつかないことになってしまう。ビハインドの展開でもまだ2点差であれば分からないゲームが壊れ、打線の反撃意欲をそいでしまうことがあったように感じる。

 今年、シーズン中や日本シリーズで見せたソフトバンクの継投は、状況を見て最善の一手を打ち続けていたように思う。連投させても勝ちにいくという強いベンチの意思を感じさせたことが、勝負所をことごとくモノにしてきた要因ではないだろうか。

 さらに投手個人で見ても、試合で投げなければ給料や地位は上がらない。それが“プロの野球”だと言える。首脳陣は勝ちパターンがいないと言うのではなく、選手もファンも信頼する勝ちパターンを作らなければならない。それが来季、優勝を目指す上で必要不可欠なテーマとなるはずだ。=終わり

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