阪神退団の能見ラストメッセージ 最終戦で涙した梅野、岩貞、大山らへ悲願V託した

 自主トレで記念写真におさまる(手前左から)梅野、大山と(奥左から)横山、能見、岩貞、岩崎=1月16日、宜野座
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 今季限りで阪神を退団した能見篤史投手(41)が14日、16年間のタテジマ生活を振り返りながら、現在の心境、残る後輩たちに向けた思いなどを独白した。「チーム能見」として自主トレを共にし、最終戦で涙した梅野、岩貞、大山らに向けた“ラストメッセージ”。「かなわぬ夢」の続きを、愛するチームメートに託した。

 まだ別れの悲しさが胸を締める。劇的なシーズン最終戦から3日。目を閉じれば浮かぶ光景を、能見は現実として受け入れる最中だった。「今はさみしい思いが強いな」。阪神一筋16年。現役続行の意志を固め、退団の道を選んだ。ただ、愛着が消えることはない。

 「16年、着続けたユニホーム。もう着ることがないと思うとね。最後は球場の雰囲気に後押ししてもらった」

 阪神で過ごした16年間を振り返れば、優勝は初年度の2005年が最後。この間、長くエースとしてチームを支えた能見が心残りを明かす。「中心選手として優勝したかった。それでどれだけの人が幸せになれたか…」。届けたかった、届かなかった悲願。「かなわぬ夢」の続きは、残るチームメートに託す。

 最終戦では梅野、岩貞、大山が涙を流した。特に3人は「チーム能見」として、自主トレを共にしてきた仲間だ。「リュウには一度、厳しいことを言ったことがある」。構え方やボールを受ける姿勢、投手との接し方。物足りない姿が歯がゆかった。誰よりも素質を認めるからこそ、あえて厳しく接してきた。

 「今年は少し出番も減った。それをどう捉えるかは本人次第。日本一の捕手になってほしいし、その素質は十分にある。でも、まだまだ。もっとやれる」

 また、岩貞はシーズン途中、リリーフに配置転換された。先発と中継ぎ、両方できるメリットがある一方、便利屋になる危険性もある。「どっちの役割をしたいか。その気持ちを大切にしてほしい。元々、視野が広い子。うまく乗せてあげると、いい働きは絶対にする」。最終戦の記念球はプレゼントした。「僕の意志とともに」。

 岩貞の号泣は予想通りだったが、「一番ビックリした」のは大山の涙だ。「悠輔一人にチームを背負わせたらダメ。岡本くんだって、前後を打つ打者がしっかりしている。みんなで4番を支えてほしい」。巨人の主砲にも負けず劣らぬ存在だ。だからこそ打線として相乗効果を期待する。

 「この世代は必ず中心になっていく選手たち。それは間違いない」。来季16年ぶりの優勝に投打、攻守で成長が欠かせない。涙に暮れる3人に向けた“ラストメッセージ”だった。「後輩たちがやってくれると信じている」。夢の続きを託し、別れを告げる。猛虎の系譜はつながれていく。

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