藤川引退試合 元中日・岩瀬氏観戦記 尊敬できる後輩と同じ時代を過ごせて幸せだった

 「阪神0-4巨人」(10日、甲子園球場)

 同じ時代を駆け抜けた盟友にあっぱれ-。通算1002試合登板、通算407セーブの日本記録を持つ元中日の岩瀬仁紀氏(46)が、阪神・藤川球児投手(40)の引退試合を生観戦。デイリースポーツに観戦記を寄せ、これまでの労をねぎらうとともに、第2の人生にエールを送った。

  ◇  ◇

 球児、お疲れ。僕は2年前に先に引退したけど、今日の試合を見て改めて、尊敬できる後輩と同じ時代を過ごせて幸せだったと感じたよ。

 年齢は6個違うけど、同期入団で、中継ぎからストッパーに回った経歴も一緒。投球スタイルは全く違うけど、絶対的なボールがあったというところも似てた。

 バッターが真っすぐが来ると分かってても打てない真っすぐ。同じピッチャーとして理想だし、僕もあんなボールが投げられたならなと憧れたもんだよ。だって、ピッチャーを始める時、誰だって最初に投げるのは真っすぐでしょ。一番最初に野球と触れ合った球、投球の軸になるボールだけで打者を抑えられるっていうのは、すごいというしかない。

 ただ、お互いに緩急を使うのがヘタだった(笑)。球児はフォークを覚えて効果的に三振を取れるようになったけど、カーブの割合は少なかった。縦軸の球児に対して、僕はスライダーを中心とした横軸だったから、参考にしたり、比較対象にすることもなかったけど、二人とも緩いボールをマスターできていれば、もっと長くプレーできたかな。

 でも、ストッパーは先発と違って、3個のアウトを稼ぐだけでいい。だから、自信のある球、打たれた時に後悔しない球を投げなければいけない。同じ日に、同じバッターと再戦することがないから、相手の目線をかわす必要もない。それが僕にはスライダーであり、球児にとっては真っすぐだったんだよね。

 お互いベテランになり、ポジションがストッパーじゃなくなった時、どうしたらチームに必要とされるか、必要としてもらえるかという話をした。球児はメジャーで成績を残せずに戻ってきたけど、去年、リリーフとしてもう一度輝いた。年齢を重ねていく中で力の衰えは隠せないものだけど、藤川球児は藤川球児であり続けた。同じプロ野球選手として、並大抵の努力ではないことは分かるし、改めて球児の力を感じさせてもらった。

 抑えて当たり前と思われ、褒められることは少なく、打たれた時には厳しい声が飛ぶポジション。うれしいことより、つらいことの方が多かったと思う。ゆくゆくはユニホームを着て指導者になる器だと思うけど、だいぶ無理してやってきたと思うから、しばらくはゆっくり休んでほしい。お疲れさまでした。

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