【岡田氏&近本 対談2】岡田氏 2番、6番最強説「2人が強いときは優勝」

 勝負の2年目。ルーキーイヤーの昨年、いきなり頭角を現し盗塁王を獲得するなど、阪神攻撃陣に欠かせない戦力となった近本光司外野手(25)。デイリースポーツ評論家・岡田彰布氏(62)も好む職人肌の野手だ。この2人が“打撃論”や、今季務める予定の“2番打者論”など、それぞれの野球観を熱く語り合った。対談その2。

  ◇  ◇

 岡田「ところでさっき、バットを見せてもらったんやけど、難しいのを使ってるなあ」

 近本「(苦笑しつつ)そうですか?去年までは普通のグリップだったんですけど、1年間やってみて、タイカッブ式(グリップからグリップエンドにかけてなだらかに太くなっていくタイプ)に変えたんです」

 岡田「俺はバットをグリップエンドまでいっぱいに握ってたけど」

 近本「僕は指2本分くらい余します。去年は振ってる時に、ずれないようにしようとして無駄な力みを感じることがありました。そうならないよう、指2本分のところから太くしようとしたのが、バットを変えた理由です」

 岡田「グリップそのものは細いもんなあ。ヘッドも細い。こういうバットを使うなら、ちゃんと打たんとヒットにはならん。いいことやと思うよ。ちゃんと振れるようになれば向上するから。ツチノコ(ヘッドもグリップも太いタイプ)はぶつけるだけ。技術がないからああいうバットを使うんよ」

 -近本選手は今キャンプで、脱力するフォームにも取り組んでいた。

 近本「キャンプ中に感じたことなんですが、タイミングが遅れた時に、手を速く出そうとはするんですが、ここで上半身に力が入っているとバットが出てこない。それで上半身の力を抜こうと考えました」

 岡田「右足(ステップをする、投手側の足)が遅れると、詰まるというのはある」

 近本「その右足のステップを小さくしながら、力を抜いたらバットが出やすいような感覚がありました」

 岡田「(左打者で)右腰が浮くタイプは、右足が地面に着くときに上からドン、という感じになりやすい。ここで右足を滑らせるようにスッと着地させればいい。手は意識しなくても間に合うよ」

 近本「手はいいんですか?」

 岡田「手は気にせず大きく、ゆっくり振るイメージを持つ。近本は(体重配分で軸足と右足は)6対4くらいか?」

 近本「7対3くらいですね」

 岡田「そこまでいってたらなおさら手は意識しなくていい。前の足(右足)でタイミングを取るだけ」

 近本「7対3のまま打つイメージですか」

 岡田「そうすれば、前の足でタイミングを取れるし、それが合うと、バットがインサイドから出てくるから」

 近本「そうなんですか」

 岡田「チェックポイントの多いバッターはアカン。足の膝から下だけを意識するくらいでいいよ。またバットに話を戻すけど、メープル素材は硬くてしならないから、なかなかバットに乗るという感覚がないやろ?」

 近本「乗らないです」

 岡田「近い距離のペッパーとか、20メートル程度のノックとかね。ボールがバットにひっついてる時間を長くするような感覚を養う練習をしたらいいよ。ゴルフのアプローチのようなね。それを体で覚えていったら、しなって乗る打球が出始めるよ」

 (続けて)

 岡田「打つのは簡単にな。特に練習では。打撃投手の115キロ程度のボールなら99%、芯に当てないと。いいスイングで。そうすると試合で崩されても、大きくは崩れない。あとは、苦手なボールについても気にする必要はない」

 近本「そうなんですか?」

 岡田「苦手なコースを克服しようとしてバッティングを崩した選手も多いよ。それより得意なところを確実にヒットにすれば3割打てるし、それで十分やろう。まずは3割を目指すことを考えた方がええよ」

 近本「ミスショットがない方が、(打)率は上がりますね」

 岡田「だったら苦手を克服する必要ないもんな」

 近本「苦手なボールをヒットにするのは難しいです」

 岡田「あとは準備。練習で準備して、攻撃中のベンチでより具体的に準備しておいて、ネクストバッターズサークルで最終準備をする。例えばどのタイミングでトップを作るか、とかね。打てなくても、そうやっていろいろ考えるのは面白いもんなあ」

 近本「質問があるのですが、岡田さんにとっての2番バッターというのはどういう意味を持ちますか?」

 岡田「今の2番は、坂本(巨人)や筒香(前DeNA)なんかもやってるけど、監督が楽してるだけやろう。強力なクリーンアップがいるから、2番もそういう強打者を置ける。難しいサインを考える必要もないからなあ。でも俺は2番、6番最強説というのを感じてて、その2人が強いときは優勝できるんよ。2番で言うと、任せてたら何でもできるタイプと、サインで縛って点を取りに行くタイプがあるけど、近本の場合はつなぐ意識は必要ないやろう」

 近本「つなぐ意識はいらないんですか?」

 岡田「近本はゲッツーになることないやろ」

 近本「あまりありません」

 岡田「早いカウントでフライを打ち上げるのが一番ダメなこと」

 近本「最悪でも、(ランナーが一塁にいれば)入れ替われればいいということですね」

 岡田「俺が監督でも近本は2番を打たせると思う。ただそのランナー一塁の時、『普通に打て』という指示を出すかな。無理に一、二塁間を狙って一、三塁にする、とかいらんよ。ヒットで一、二塁でいいし、相手も内角には投げてこないわけやから」

 近本「たしかに外のボールが多いです」

 岡田「それなら三遊間に打ったらええんよ。捕られて二塁フォースアウト、というのを最低ラインに考えていたらいい。ただ、近本のような2番は打率が下がるからな」

 近本「犠打のサインが出ないということですね」

 岡田「追い込まれたら、打ち方を変えてもいいと思う。何としても、ボールを振ってでもランナーを進めるというケースもあるから。そうなると打率は上がりづらいよな」

 近本「4打数0安打でも、しっかり2番の役割を果たすことはできるということですね。それを今日、知りたかったんです。本当に勉強になりました。ありがとうございました」

 岡田「ありがとう」

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