大山 土俵際の奇跡弾 九回起死回生!投打で猛虎一丸“終わらせない”執念星

 巨人を破り、歓喜の輪の中で藤川(中央左)と抱き合う大山(同右)=撮影・出月俊成
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 「セCSファイナルS・第3戦、巨人6-7阪神」(11日、東京ドーム)

 負ければCS敗退が決まる土俵際の一戦で、阪神が1点差勝利。勝負を決めたのは大山悠輔内野手(24)だ。6-6で迎えた九回、右中間へ決勝の勝ち越しソロを放った。これで対戦成績は1勝3敗(巨人のアドバンテージ1勝含む)。0勝3敗からのCSファイナルS突破率0%からの奇跡を起こす。

 執念だった。強く、強く振るんだ。胸に刻まれている大切な教え。大山が白球に思いを込めた。「負けたら終わりなので、やるしかない。勝ったら何でもいいですね」。仲間と目指すのは0%からの奇跡。苦しみ、悩んだ分だけ笑顔が輝いた。

 時刻は22時を回る。繰り広げたのは、1点を争う死闘。そんな中で、値千金の一打となった。同点で迎えた九回。終止符を打ったのは、大山のバットだ。先頭で打席に向かうと、見逃しストライク、ファウル。たった2球で追い込まれた。

 ゆっくりと息を吐く。迎えた4球目だった。低めに制球されたスライダーにフルスイングで反応。打球を目で追い、祈った。「入ってくれ」。これまでの大山の悔しさを切り裂くかのように、白球は右中間席に着弾した。後押ししたのは覚悟。「(練習が)結果につながったかどうかは分からない」と首を振る。だが、努力は勝利を導く指針となった。

 振り払っても、振り払っても、悔しさは癒えなかった。ふがいなかった。8日の投手指名練習日。大山は一人、グラウンドへと向かった。「ファイナルではチームの戦力というか、力になりたい」。CSファーストSでは、打率・143に沈んでいた。だからこそ、即行動に移した。だが…。ファイナルSに進んでもなかなか結果は上がってこない。10日には先発を外れ、最後までベンチだった。

 「もっと練習から強く、強く振った方がいいんじゃないか?」

 元ソフトバンクの松中氏からの言葉だった。何度もうなずきながら、耳を傾けた。「自分の中では強く振ったつもりだったんですけど」。交流戦中に受けた教えを、今も胸に刻んでいる。一人黙々と打ち込んだ133スイング。力強く振り切られたバットから放たれた白球は、フェンスを越え、誰もいない観客席に当たり音を奏でた。

 崖っぷちだった。でも、この逆境をみんなで乗り越えてきたんだ。「ここから本当のタイガースの強さだと思って、試合に臨みました」。悩んで、苦しんで出した答えはひとつじゃない。ただ、たどり着いた先が勝利ならば-。大山はうれしそうに笑った。

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