高橋遥人377日ぶり星 真っ向勝負7回2失点9K 6年ぶり巨人戦4連勝導いた

 「阪神5-2巨人」(30日、甲子園球場)

 377日ぶりの復活星や!阪神の高橋遥人投手(23)が巨人の強力打線を7回4安打2失点に抑え、今季初勝利を飾った。通算3勝目で巨人戦は初勝利。チームに3連勝、さらに6年ぶりとなる巨人戦4連勝をもたらした。昨年左肘痛で離脱後、長いリハビリ生活を経て晴れ舞台に戻ってきた期待の2年目左腕。矢野阪神に頼もしい戦力が加わった。

 この笑顔を、みんなが待っていた。おかえり、ただいま-。高橋遥人が、1軍のマウンドに帰ってきた。「ものすごくケガしてから長かったので…。去年の勝利より、何百倍もうれしいです」。7回4安打2失点。9奪三振の快投で、2018年5月18日・中日戦以来、377日ぶりの復活星だ。

 お立ち台では、隣に並んだ打のヒーロー・大山とほほ笑みあう。目の前に広がるのは、待ち焦がれた景色。援護点をくれた先輩へ、遥人節もさく裂した。「ホームラン、ナイスバッティングでーす」。目と目が合うと、照れくさそうに、また笑った。6年ぶりの巨人戦4連勝。投のヒーローは譲らなかった。

 何度も帽子を取り、汗を拭った。ベンチも好投を続ける左腕を、迷いなく七回のマウンドへ。140キロ中盤の力強い直球を投げ込み、三者凡退と見事期待に応え、「自信になった」と前を向いた。二回にこそ、2ランを浴びたが、三回以降は二塁を踏ませない危なげない投球。巨人のクリーンアップから6Kを奪うなど、真っ向勝負で挑んだ自己最多の120球に少しだけ胸を張った。

 「本当に僕、また投げられるようになるんですかね」

 弱い気持ちがつい、顔を出した。昨年6月に痛めた左肘。そこから待ち受けていたのは、これまでの野球人生で一番長いリハビリ生活だった。ブルペンでは仲間たちが連日の投げ込み。高橋遥は何カ月も、その扉を開けることができず。グラウンドとブルペン前を行ったり来たりする毎日だった。足元をじっと見つめ、投げられない自分をもどかしくさえ感じていたという。

 そんな時、リハビリを担当していたトレーナーから「遥人よりも、長いリハビリを頑張っている選手だっている。それなのにみんな、弱音吐かないでやっているだろう?」と厳しい言葉がかけられた。胸に突き刺さる思いだった。「自分しょぼいなって…どれだけ弱音吐いちゃってるんだろうって」。もう、下は向かない。そう決めると、うつむく時間は減っていった。

 投げられなかった悔しさ、もどかしさを乗り越えて。今、ここに立つ。ベンチ裏では投打のヒーローが固く手を握り合った。「リハビリでお世話になった方、全員に感謝したい」。この思いを、届けたい。高橋遥がまた、感謝のマウンドへと向かっていく。

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