「中日０－２阪神」（２９日、ナゴヤドーム）

　一塁ベース上で、ホッとした表情の後に笑みがこぼれた。３打席凡退で迎えた九回。この日、１軍に昇格し「６番・一塁」でスタメン出場した阪神・マルテが左前に来日初安打を放った。

　５球連続ファウルで粘った後、甘く入った１１球目のストレート。会心の当たりとはいかなかったが、打球は三遊間を抜けていった。「チームが勝ったことが一番うれしい。ただ、日本でやっていく上で大事な１本になったね」。虎の３１番は、記念すべき一打をはにかみながら語った。

　右ふくらはぎの張りの影響で、３月１６日に戦線から離脱した。前日２８日にはファームでフル出場し、４試合連続安打を記録。調子を上げてきたことで緊急昇格が決まった。「正直、長かった。でも１年間のシーズンを健康で過ごすためには大事な期間なんだと信じてやっていたからね。そこまで気にはしなかった」。２軍での日々を前向きに振り返る。

　矢野監督は「ああいう打順でマルテがいるっていうのは相手にとっても気持ち悪い部分もあると思う。ポイントゲッターとして打ってくれると助かるし、（打撃陣は）全体的にいい形になりつつあるかな」とうなずいた。２０１９年阪神打線の大事な大事な１ピースがようやく埋まった。