「オープン戦、阪神１－５西武」（１６日、甲子園球場）

　甲子園という舞台が、ルーキーの輝きをより一層際立たせる。白球を捉え、グラウンドで躍動し続けるルーキーの背中が虎党たちの心をわしづかみにする。阪神のドラフト１位・近本（大阪ガス）が２安打１打点。オープン戦初適時打に加え、本拠地・甲子園で初のマルチ安打をマークした。

　開幕オーダーを想定し、ほぼベストメンバーが名を連ねた猛虎打線。“定位置”となった「２番」に入った近本は三回１死一、三塁の好機で第２打席を迎えた。その初球、西武先発・武隈の１０３キロカーブをミート。鋭く捉えた打球は遊撃・源田のグラブをはじき、左前に転がるオープン戦初適時打となった。

　初打点は「最低限の仕事をしようと。外野フライでも、（ゴロでも）ゲッツーにならないコースに飛べば」と冷静に状況を判断してのもの。自身のバットで得点をもたらしてベース上で甲子園の盛り上がりを味わい、「素晴らしいですね」と頬を緩めた。

　さらに五回の第３打席ではしぶとく左前に運び、続く高山の４球目に盗塁を決めた。雨の影響でグラウンドは悪条件だったが「影響はあるけど、自分だけに影響があるわけではない。ピッチャーもキャッチャーも足場は悪い」とポジティブな思考で、１２球団で２位タイとなるオープン戦５つ目の盗塁を決めた。

　快足もさることながら好調な打棒も見せ、オープン戦打率は・３１４と上昇し大台に乗せた。木浪、近本というフレッシュな新人１、２番コンビは開幕以降も、と問われた矢野監督は「そりゃもちろん、それは想定してやっている」とうなずいた。

　打順には「慣れはあんまりない。２番なのは初回だけ。その時回ってきた状況に応じて」と近本。矢野阪神にとって「２番・近本」が必要不可欠なピースになろうとしている。