糸井劇場 六回逆転打!八回守備“ミス”で逆転許す…九回帳消し同点弾!

 「交流戦、阪神3-3オリックス」(21日、甲子園球場)

 交流戦は今季初の引き分けに終わった。阪神は糸井嘉男外野手(36)が意地の一発を放った。八回の守備で目測を誤る“ミス”を犯し勝ち越し点を許したが、2-3で迎えた土壇場の九回、左中間へ豪快な10号同点ソロ。六回にも右前へ2点適時打を放つなど甲子園が「糸井劇場」と化した。22日からはリーグ戦が再開。阪神は甲子園で首位・広島を迎え撃つ。

 強い気持ちが、打球へと乗り移った。最高に笑った顔と、悔しそうな厳しい顔。糸井が挙げた3打点には、ベテランの意地が詰まっていた。それでも、4番が挙げた値千金の適時打も、10号ソロも、勝利には結びつかなかった。

 土壇場で試合を振り出しに戻した。1点を追いかける九回先頭。増井の初球だった。145キロの直球にフルスイング。バットを放り投げ、見つめた打球の行方は…左中間フェンスを軽々と越えていった。起死回生の同点弾。6年連続の2桁本塁打とし、大歓声がグラウンドいっぱいに注がれる。それでもダイヤモンドを一周する糸井の口は、真一文字に結ばれたままだった。

 五回までチームは無安打。マウンドで粘投する、プロ初先発の馬場を援護できていなかった。それでも0-1の六回1死一、三塁の好機。福留が三振し熊谷の二盗がアウトと判定されて、攻撃の芽は摘み取られたかに見えたが金本監督のリクエストが成功し、2死二、三塁で再開。反撃の一手は、4番のバットに託された。

 このいけいけムードが糸井の背中を押す。6球目は打球が三塁ファウルゾーンへ上がったが、オリックス内野陣が捕球できず運も味方につけた。打ち直しとなった8球目。打球は一塁手の左を鋭く抜け、右翼の前へ弾む逆転の2点タイムリー。感情をあらわにし、一塁上で両手を叩いた超人が拳をベンチへ突き上げた。「馬場が一生懸命投げていたので、なんとか気合で打ちました」。現状打破へ。気持ちで運んだ一打だった。

 全打点を挙げた糸井だが、悔やまれるプレーもあった。八回の守備だ。同点とされ、なおも2死二塁のピンチ。吉田正の強烈なライナーが糸井の正面へ飛んだ。ジャンプも及ばず頭上を越され、2-3と勝ち越された。それでも金本監督は責めなかった。

 「難しい打球だよ。外野手は前進守備でゴロヒットを止めないといけないから。走者をかえしたらいけないし、チャージ、チャージというのが頭にある。変にかばうわけではないけど、あの打球は難しい」

 紙一重の打球…でも捕れなかった。最後は延長戦にもつれ込んだが、結局、引き分けで交流戦を終えた。試合後の糸井は厳しい表情を貫いた。チームが勝たなければ意味がない、と。

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