「交流戦、楽天０－４阪神」（１５日、楽天生命パーク宮城）

　完ぺきな一発は阪神・中谷の成長を確かに感じさせた。同じ過ちは繰り返さないという意識が打撃フォームからにじみ出ていた。前日の日本ハム戦から足の上げ幅を変え、辛島の失投を一振りで仕留めきった先制の３号２ラン。「晋太郎が頑張っていたので」と藤浪の好投に応える一撃だ。

　今季初の３番に座り、六回１死二塁で迎えた第３打席。カウント２－１から逆球となって真ん中高めに入ってきた直球を見逃さなかった。打った瞬間に行ったと分かる先制２ラン。そこには「前の試合、チャンスで打てなかったので」という反省をしっかりと生かした姿があった。

　この日、中谷は足の上げ幅を小さくし、シンプルにボールを見ようという意識を持っているように映った。「ちょっと変えました。どうしても前に突っ込んでしまうので、後ろからボールを見られるように」。体が前に突っ込んでいればファウルになっていたかもしれない１球だった。

　そこを捉えきったのは、中谷が客観的に自らのスイングを分析し、修正しようとする姿勢があったから－。「これからも臨機応変にやっていきたいと思います」と力を込めた背番号６０。長いシーズンを戦う上で、考えて放った一発は間違いなく、確かな技術の引き出しになる。