「中日３－４阪神」（１８日、ナゴヤドーム）

　４番が打ったから勝った。逆転劇を呼び寄せた１２試合ぶりの長打、そして来日初の３安打猛打賞が敵地に歓喜の六甲おろしを響かせた。「自分のタイミングで打つことができた」と納得の表情を浮かべたロサリオ。この日、試合前から爆発の“兆し”を見せていた。

　フリー打撃の感触がよかったのか、再度、ティー打撃に没頭。片岡ヘッド兼打撃コーチに「５スイングだけ欲しい」と要望し、異例のフリー打撃“おかわり”を申し出た。

　そのラストスイング、完璧に振り切った打球は左翼最上段の黄色いベンチを直撃。これまでの迷いを吹き飛ばすような一撃が、悩める主砲を覚醒させた。初回の第１打席、柳のスライダーをうまく右前へクリーンヒットすると、手応えが確信へと変わった。

　１点を追う六回無死一塁の第３打席。２ストライクから柳の直球をフルスイングすると、打球はあっという間にセンターの頭上を越えた。ここから相手のミスなども絡み、一挙４点を奪って試合をひっくり返した。七回の第４打席でも左前打を放ち、打率は・２５４へ上昇。金本監督は「１年終われば間違いなく打ってくれているだろうという計算がある」と言う。

　メジャー、韓国で確かな実績を残しながらも必死に練習し、謙虚に異国文化になじもうとする助っ人。今年２月のキャンプ中、宿舎からオープン戦の球場へ向かうバスに真っ先に乗り込んで待つロサリオがいた。周囲も驚き、同乗した谷本球団本部長は「早い時間にロサリオが来てるとは…」と明かした。

　規律、団体行動を重視する日本の風習を事前に把握し、“２０分前行動”を実践するドミニカン。「まだやることはたくさんある。まだ始まったばかり」と言うが、必ず日本で成功する。そう周囲が期待したくなる人間性が、ロサリオにはある。