バットマン鳥谷、チームを鼓舞 鼻骨骨折も強行出場、連続試合出場1795に

 「阪神6-1巨人」(25日、甲子園球場)

 24日に顔面死球を受けて鼻骨を骨折した阪神・鳥谷敬内野手(35)が六回、甲子園の大歓声を背に代打で出場。三ゴロに倒れたが、連続試合出場を1795に伸ばした。不死身の闘志に勇気づけられるように、打線は初回、1番に入った糸井嘉男外野手(35)の29打席ぶりの中前打から一挙4得点し巨人を圧倒。連敗を2で止め、2位・広島とのゲーム差を1とした。

 1795試合目の歩みも、やはり止まらなかった。地鳴りのような大歓声に迎えられ、手負いの男が不死鳥のごとくよみがえった。六回2死。「代打・鳥谷」のコールに大甲子園が揺れる。不屈の精神で立った打席。聖地に詰めかけた3万8909人、いや見る者全ての心を揺さぶった。

 患部をフェースガードで固定したまま、マウンド上の桜井をにらみつける。カウント1-2からの4球目。148キロ直球を振り抜き、結果は三ゴロだった。しかし、聖地に響く大歓声は鳴りやまない。プロ14年目、生きざまが凝縮された1打席に心を打たれる。試合後、鳥谷は「申し訳ないですね」とファンへ感謝の気持ちを伝えた。

 24日・巨人戦(甲子園)の五回。吉川光から顔面付近に死球を受け、流血したまま兵庫県尼崎市内の病院へ直行した。診断名は「鼻骨骨折」。この日は再び病院で患部の状態を確認し、迷いなく甲子園へ。室内練習場へ到着すると、巨人のマネジャーと一緒に吉川光が静かに歩み寄ってきた。沈痛な面持ちの左腕に、優しく声をかけた。

 「気にしなくていいよ」

 すでに、志はフィールドへ向けられていた。「視界は良好ですよ」。周囲の心配をよそに、明るい表情で戦いへの準備を進めていく。内野ノック、ティー打撃、フリー打撃…。首脳陣には「スタメンでもいけます」と直訴した。さすがに止められたが、その心意気はチーム全員に伝わる。背番号1の姿に、猛虎は勇気をもらった。

 初回に4点を先制し、三回にも2得点。そして、味方の大量援護を先発のメッセンジャーが好投で守り抜く。連敗を脱し、2位・広島とは1ゲーム差に広がった。開幕から全43試合に出場し、打率・295、1本塁打、18打点。首脳陣の一人が、その存在感を語る。

 「頭が下がる。(死球後も)ベンチ裏で痛いそぶりを見せなかった。痛くないわけがないよ。でも、そういう姿勢でチームの士気は上がるし、選手が何も感じないわけがない」

 金本監督は「守ってやらないといけないところも、僕は正直あると思うし」と話す。まだ、道半ば。12年ぶりのリーグ優勝、32年ぶりの日本一を勝ち取るために、前へ進む。その先頭には、鉄人鳥谷。戦い続ける熱い男が、虎の根幹を支える。

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