掛布2軍監督、物足りん!高山は20発打てる、重なるイチロー像
阪神・掛布雅之2軍監督(61)が12日、MBSラジオ「亀山つとむのスポーツマンデー!」に生出演。球団新人安打記録を更新し、新人王にも輝いた高山俊外野手(23)に対して「物足りない」と猛ゲキを飛ばした。背番号9を「イチロータイプ」と評し、シーズン20本塁打の可能性に言及。来季、さらなる飛躍へ期待を寄せた。
輝かしい未来を予感させる青年に対し、掛布2軍監督はあえて厳しい言葉を送る。終始和やかなムードで進んだラジオの生出演。だが、高山の話題になると背番号31の声色が変わった。球団新人安打記録を塗り替え、新人王も獲得した功績は素晴らしい。ただ、全身に秘める潜在能力はこんなものではない。
「物足りないです」
134試合に出場して打率・275、8本塁打、65打点。シーズン終盤は3番打者に固定され、打線の軸を担った活躍は記憶に新しい。それでも掛布2軍監督に言わせれば、まだ本来の力を出し切れていない。今年2月に高知・安芸で受けた衝撃を思えば、実力の半分も出せていない。
「昼の特打で初めて打たせた時、びっくりしたんですよ。とんでもないやつが入ってきたなと思いました。高野本部長とガッツポーズしましたもんね」
59スイングで場外弾を含む20本の柵越え。世代屈指のバットマンであることを確認し、大打者になる素質を感じた。ヒットを量産できる巧みな技術に加え、群を抜く長打力も兼ね備える。その背中は、マーリンズ・イチローとも重なった。
「イチローもヒットを打つ打者だけど、練習で打てと言われればホームランを打てるでしょ?高山もそういうタイプの打者だと思う。20本は打てるバッターになると思うよ」
もっとスケールの大きい選手になってほしい。掛布2軍監督の願いはその一つだ。高山が月間打率・217と急降下した6月、調整で2軍戦に出場した時。悩み、深みにはまりかけていた青年に優しく言葉を投げかけたこともあった。
「他の若い選手は調子が悪いと入れ替えがあるのに、高山はなかったんだよね。本人はそれがプレッシャーに感じていたようだけど、『気にするな。胸を張れ』って言ったよ」
オールスターにも出場した7月は、月間打率・366と完全に息を吹き返した。背番号31の言葉が勇気を与えた。2年目の来季はもう一回り、二回り大きくなれる。そう信じ、鳴尾浜から見守っていく。
「巨人の高橋由伸監督のように、高山も仕掛けが早いよね。来年は1、2球目に勝負球がくると思うから、それに対応できるかどうか。高山は対応できると思っているけどね」
同郷・千葉の後輩でもある23歳への期待は膨らむ。厳しいエールは、ポテンシャルの高さを認めているからこそだ。さあ、ミスタータイガースへの道をひた走れ。名実ともに「虎の顔」と呼ばれるまで、まだまだ高い壁は待ち受けている。