高山、田淵超え57打点 マルチで122安打、得点圏打率はトップの・402

 「阪神2-3巨人」(7日、甲子園球場)

 またしても聖地で宿敵に敗れた。甲子園でのシーズン32敗は、暗黒時代の1999年以来だ。暗い数字が並ぶ中、ルーキーが光を放った。阪神・高山俊外野手(23)が五回に左前適時打。得点圏打率は12球団トップの・402で、打点は田淵幸一を抜いて球団新人単独2位となった。安打数も122とし、球団新人歴代3位の徳網茂に並んだ。

 CSが遠のく敗戦の中、高山がまたチャンスの場面で快音を奏でた。0-3の五回2死二塁。左腕・田口のスライダーを狙い打ちすると、打球は勢いよく左翼の芝で跳ねた。田淵幸一の新人球団記録を一気に抜く、単独2位の57打点目だ。

 「スライダーを狙っていて、それをしっかり打ち返せたのが良かったです。どんな形でもいいので、ランナーをかえすことだけを考えていました」

 3日・DeNA戦から続く4試合連続適時打がなんとも頼もしい。三回2死一塁は中前にはじき返した。12度を数える猛打賞は、14度の新人記録を持つ長嶋茂雄にあと2回と迫る。新人でのシーズン122安打は、50年の徳網茂と並ぶ球団3位タイ。次代の虎を担うルーキーは、想像以上の速さで一流への階段を駆け上がっている。

 そんな偉大な「先輩」の姿を「後輩」たちも球場に足を運び目に焼き付けている。中学時に在籍していた船橋中央リトルシニアの現役メンバーは、高山の背中を見て励みにしているという。当時、背番号9のコーチを務めていた掛川勉GMはしみじみと語り始める。

 「子どもたちに『高山の中学時代は、こうだったからプロになれたんだぞ』と言っているんです。この前も(高山と)電話して、変わっていない部分があってうれしかった。謙虚なところと意外と天然なところ。そんな男が今、子どもたちの夢になっていますから」

 120試合に出場して打率・279、5本塁打、57打点。新人王の最有力候補と目され、5位に沈むチームの中で輝きを放っている。掛川GMは「人に見えないところでコツコツやる子でしたね。もう、手が届かないところに行ってしまったけど」と感慨深げだ。

 「シーズンの最初の方から『若手』ということでずっと使ってもらってきた。もっと責任感を持ってやっていかないといけません」

 高山が今、最も欲しいものは光輝く記録より阪神の勝利。「ファンあってのプロ野球選手」と話す青年の未来へと続く飽くなき挑戦に、終わりはない。

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