藤浪、ハーラー単独トップ10勝&V打

 「ヤクルト3-7阪神」(14日、神宮)

 若きエースが球界の名投手に肩を並べた。阪神の藤浪晋太郎投手(21)が7回を2失点に抑え、リーグ単独トップの10勝目をマークした。高卒1年目から3年連続2桁勝利は松坂大輔(当時西武)以来14年ぶり、史上9人目。球団では江夏豊以来46年ぶり2人目の快挙だ。打撃でも四回に勝ち越し打を放ち、勝利に貢献した。これでチームは今季2度目の6連勝。貯金も8とし、今季最多を更新。猛虎の快進撃は止まらない。

 眼光鋭くマウンドをにらみつけた。2-2の四回2死二、三塁。打席の藤浪は、初球の内角シュートをフルスイングした。強烈な打球はライナーとなって三塁線を突破。藤浪が打点を挙げた試合はチーム11戦全勝、自身も7連勝だ。今季6打点目で、早くも自己最多に並んだ。

 「得点圏だったので打ちたい気持ちはありましたが、深く考えず流れに乗っていけました。たまたま振ったら当たったので。いいところに飛んでくれて、ラッキーでした」

 投球は序盤から制球難に苦しんだ。二回、2死満塁から三輪に押し出し四球。三回は自身の暴投で勝ち越しを許した。自己ワーストタイ5四球も中盤以降は「イメージ、バランス、リリースのタイミング」を修正。カットボール、スライダー主体の投球で7回を4安打2失点にまとめた。

 歴史的偉業を一発で決めた。高卒1年目からの3年連続2桁勝利は史上9人目。これまでと比べ、「イニングを投げられているし、1つ1つ、内容が濃くなっていると思う」と言葉に実感がこもる。球団では、05年井川以来となるリーグ10勝一番乗り。ついにハーラー単独トップに躍り出た。

 “3ボール”が投球術の原点だ。大阪桐蔭時代、シート打撃に組み込まれた、3ボールから始まる実戦練習。「最初は全然ストライクが入らなかった」。コーナーを狙うと外れ、真ん中のストライクは痛打を食らう。ライバル沢田(現・立大)は制球が良く、次々とクリアしていく。その姿を横目に、藤浪も投球に工夫を凝らした。カウント有利のバッターをいかにして打ち取るか-。頭をひねり、繰り返し、課題を克服していった。「試合になったら、3つまでボールが投げられる」。だから制球難に陥っても、決して焦らない。マウンド上の心の余裕を生んでいるという。

 「毎回ビシッと抑えられるに越したことはない。自分がゲームを引っ張っていく投球ができればいいと思う。1点も取られないピッチングが理想です」

 10勝もあくまで通過点。次回は2戦連続、中5日で20日・巨人戦(東京ドーム)に先発予定だ。今は最多勝は眼中にない。10年ぶりのリーグ優勝だけを見据え、敵地でライバルを突き放す。

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