ゴメスV弾!鯉と1・5差 聖地CSへ

 「DeNA4‐6阪神」(24日、横浜)

 V逸が決まっても、こぶしは下ろさない。阪神は九回、マウロ・ゴメス内野手(30)が決勝2ランを放って雨中の激戦を制した。前日は4打数無安打に痛恨の失策といいところがなかった助っ人だが、この日は初回に先制適時打など2安打3打点。汚名返上とばかりに躍動し、2位広島と1・5ゲーム差へ導いた。

 希望へと導く弾道が、左翼席で待つ虎党の元へ届いた。悔しさを糧に放ったゴメスの一撃。それは、本拠地・甲子園でのCS開催を、再び射程圏へ捉える一打ともなった。

 「打った瞬間はどうかなと思ったけど、しっかりとスイングできた」。そう振り返る打席は同点の九回無死一塁。DeNAの守護神・三上に対して「ストライクゾーンに来た球を積極的に、強くたたこうと思った」と、外角直球を左翼席中段へ運ぶ決勝の26号2ラン。その瞬間、降り続いた雨がやんでいた。

 雪辱を胸に、臨んだ一戦だ。前日はすべての打席に走者を置いて迎えながら、2併殺を含む4打数無安打。1点リードの九回は筒香の一塁ゴロをはじく失策を犯し、直後に呉昇桓がブランコに痛恨のサヨナラ弾を浴びた。

 「昨日は過去。今日はまた新しい試合。終わったことを考えず、自分のやるべきことをやろうと思った」とゴメス。即座に気持ちを切り替え次へ臨む。それが大きなスランプをつくらず、高い数字を残してきた要因だ。

 ただ、過去のことで終わらせることもしない。試合前練習では降りしきる雨の中、ただ1人、グラウンドに立っていた。「今日は下がぬかるんでいるから、やっておこう」という高代内野守備走塁コーチの言葉に応じ、黙々と一塁の守備位置でノックを受ける。勝負への準備は怠らない。それもゴメスが不動の4番たり得るゆえんだ。

 強い思いは、いきなり初回2死三塁からの先制左前打となって表れる。そして七回に同点とされ、嫌な空気が漂った最終盤に、今度は試合を決める一打。和田監督も「本人も昨日のことがあって、今日の試合に対しては強い気持ちがあったと思う」と頼もしい主砲の活躍に目を細めた。

 リーグトップを独走する打点は107を数え、2位・広島に再び1・5ゲーム差と迫った。「これからもしっかりと戦い、打席の中で自分の仕事をするだけだよ」とゴメスは言う。勝利の余韻か。重苦しく感じた雨空が、さわやかな風を運んでいた。

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