関本V打で20勝!新神様また初球打ち

 「ヤクルト1-4阪神」(4日、神宮)

 新神様の降臨だ。1‐1で同点の七回、2死二塁から代打で登場した阪神・関本賢太郎内野手(35)が中越えに決勝の適時二塁打を放った。チームは広島と並んで、11年ぶりの両リーグ最速20勝に到達。上本博紀内野手(27)の離脱は心配だが、再び2位に浮上した。

 関本はヒーローインタビューを断った。「辞退、辞退。きょうは鶴、鶴」と笑いながら足早にグラウンドを去った。関本!関本!の大合唱がいつまでも鳴りやまない。新代打の神様が神宮球場の大歓声を独り占めにした。

 背番号3が一振りで決めた。同点の七回。2死二塁の好機で191センチ左腕ナーブソンの初球チェンジアップをたたくと、大飛球が中堅手の頭上を越えた。殊勲者は梅野の生還を見届け、二塁上で力強く3度手をたたいた。

 目前で代打に立った新井が二飛に倒れ、悔しさをあらわにした。

 「初球を打つことが積極的とは言わない。打てそうな球が来たから積極的にいった。新井さんと2人で1点を取らないといけない。それが監督の考え。何が何でもという気持ちだった」。値千金の決勝二塁打で連敗中のチームを救った。

 プロ18年目の今季、原点に立ち戻った。35歳の前選手会長が2軍主体の安芸キャンプで1カ月間を過ごした。滞在先の2軍宿舎は8畳あまりのシングル部屋。187センチ94キロの体を縮めながら、毎夜10代の記憶をたどった。

 「安芸の宿に泊まるのは黒潮リーグ以来かな。当時の教育リーグは今みたいに飲み物が充実してへんかった。誰かが本塁打を打ったら主催者からスポーツドリンクが提供されるけど、打たんと水しかない。コーチから、セキ、本塁打!本塁打!と、よく言われたよ」

 大砲の期待を背負いながら、プロで生き抜くためにバットを短く持ちかえた。「代打」の真打ちを担う今季、バットを最短距離で振り抜く新打法を考案。「毎年打ち方を変えるけど、今年は迷いがない」と、衰えない探求心で代打打率・375を誇っている。

 「1球目を一振りでね。その集中力は素晴らしい」と、和田監督は賛辞を惜しまなかった。上本の負傷離脱で暗雲が漂った夜。「博紀がいないのは痛いけど、チャンスを得る選手もいる。プラスに考えるしかない」。帰り際、クラブハウスの冷蔵庫からスポーツドリンクを取って、喉(のど)を潤した。関本がベンチに控える、虎の底力が際立った。

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