「阪神４-２ヤクルト」（１８日、甲子園）

　流れを変えるのは本塁打と走塁。阪神・和田監督の持論だ。聖地の夜空にこだました六甲おろし。連敗を止める要因になったのは足。先の塁を奪うどん欲な姿勢が、広島に喫した連敗をかき消した。

　キャプテンが先陣を切った。初回、左前適時打を放った鳥谷が二盗。続くゴメスの打球を遊撃・西浦がファンブルし、中前に転がった。走る背番号１。高代三塁コーチが右腕をグルグル回し、２点目を奪った。

　「あれは高代コーチの好プレー」。鳥谷のスタート、勢い、加速を瞬時に判断し、本塁突入を指示した三塁ベースコーチ。敵のミスにつけ込んで奪った１点。和田監督が惜しみない賛辞を贈った。

　止まらない。続く１死一塁。フルカウントからゴメスを走らせ、マートンの中前打で一気に三塁を奪い取り、２死後の敵失で３点目をもぎ取った。三塁に達していなければ得られなかった１点だ。二回にも２死一塁からランエンドヒット。鳥谷の投手強襲二塁打が一塁側ファウルゾーンを転々とする間に、大和が４点目のホームを駆け抜けた。

　「今日落とすと空気が変わる可能性があったからね」。足でつかんだ味わい深い白星。盗塁だけが機動力じゃない‐。これも和田辞典に記された言葉だ。