桧山引退…神の涙は日本一の歓喜で

 阪神の桧山進次郎外野手(44)が7日、兵庫県西宮市内のホテルで会見し、今季限りでの現役引退を表明した。チームの低迷期から主力として支え、03、05年のリーグ優勝に貢献。06年以降は主に代打として活躍した。驚異的な勝負強さから「代打の神様」と呼ばれ、虎党を熱狂させてきた。しかし体力の衰えを実感するようになり、タテジマ一筋22年間のプロ野球生活にピリオドを打つことを決めた。引退後は評論家に転身することになる。

 何度も自分に問いかけた。ウソはつけなかった。大好きな野球と真っすぐ向き合ったから。阪神が好きだから。常に抱えていた決断の覚悟。自分で定めた22年目の終着点。だから、この日の涙はいらない。「正直、若干ホッとしている気持ちがあります」。桧山が決めた一つの節目。無数のフラッシュに、時折見せた笑みが浮かんだ。

 「(感謝は)誰というより、22年間携わってもらった方々に感謝の気持ちでいっぱいですし、22年間助けていただいていた家族、球団関係者、ファンの方々、友達、陰で支えてくださった方がいますのでみんなに感謝の気持ちでいっぱいです」

 タテジマ一筋の野球人生、浮き沈みもあった濃密な22年。ピリオドの決断は自然と浮かんだ。描く姿と、少しずつ離れていた現実。打って、守って、走れて。すべてこなせての野球人。桧山の一つのバロメーターは試合前のシートノックだった。今年は疲労などで回避することが増えた。

 「試合前の練習で体力落ちたなとか感じるようになって、シートノックをちょっとやめとこうかなとか。体はどこも痛くないのにやめとこうかという自分がいて…」

 これではダメだという思い。ポリシーは曲げられなかった。「常時試合に出てる選手が、今日はやめときますというのは別ですけど、そうじゃないのに、どこも違和感ないのにというのはあって。自分自身にウソはつけないというのがあって」。正直に導いた答えが、引退の二文字だった。

 阪神での在籍22年は歴代最長のもの。現在107打点という代打での打点記録は、リーグ歴代2位の数字だ。入団時に体力のなさを痛感し、1年目が終わるとオフから一人で集中的にウエートトレーニングに取り組み、プロで戦う土台を築いてここまできた。今では「代打の神様」と呼ばれ、03、05年と2度のリーグ優勝で美酒に酔った。でも、その先…まだやり残したことはある。

 「あとは…『忘れ物』を取りにいってない。『忘れ物』というのは自分で発した言葉なんで、取りにいってないのがあるので。可能性のある限り、全力を尽くしてやらないといけない」

 最後のゴールは決めた。でも、どんなゴールになるかは分からない。どこかで覚悟していた今季、「日本一になりたい。日本一になって、思い切り泣きたいから」と常に思ってきた。ドラマはこれから。この日は固く閉ざした涙腺、決壊の時は歓喜の涙と信じている。忘れ物を取りにいくため、最後まで戦い抜く。

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