西岡、復帰即マルチでサヨナラ呼ん打!

 「阪神2-1ヤクルト」(16日、京セラ)

 流れが変わった。西岡が変えた。阪神は左膝痛で2軍で調整していた西岡剛内野手(29)が、スタメンに復帰し2安打。九回には先頭で内野安打を放つと、チーム8度目のサヨナラ勝利につながった。守備でもチームを鼓舞する“ファインプレー”を見せた。勝てる野球を実戦できる男が帰ってきた。

 もうボールはホームまで返ってこなかった。サヨナラのホームを踏んだ瞬間、右拳を高く突き上げて新井のもとへ全力で走っていった西岡。左膝痛からの復帰初戦。どうしても勝ちたかった。勢いをつけたかった。劇的なサヨナラ勝ち。最高の形へ導いたのは間違いなく、背番号7の力だ。

 1‐1で迎えた九回、先頭で迎えた第4打席だった。バーネットの初球、外角145キロの直球をきれいに捉えた。打球は痛烈に三遊間を襲い、遊撃・川島のダイビングキャッチにあったものの全力で一塁を駆け抜けてセーフ。京セラドームが一気にサヨナラへ向かう空気に変わった。

 大和が左前打、鳥谷の送りバントに相手失策が絡んで無死満塁。マートンは浅い中飛に倒れたが、続く新井が高々とセンターへ打ち上げて今季8度目のサヨナラ勝ちを収めた。直近の3カード、初戦を取れていなかっただけに価値ある1勝。ただ試合後、西岡は九回の場面をこう冷静に言ってのけた。

 「あそこは僕が決めるんじゃなくて、塁に出ることが仕事。初球をバチンと捉えることでチームに勢いがつくと思った」。ただ打つだけじゃない。初球を仕留めることでチームに勢いを生み、サヨナラの流れに持っていく。打席に入る前、思い描いた通りのシナリオを高い技術力で実行した。そんなさえ渡る勝負勘を象徴するシーンは、五回の守備でもあった。

 1点ビハインドで無死一、二塁の場面。打席には8番の川島。3球目まで送りバントの構えだったが、能見が4球目のセットに入った瞬間、二塁の位置から右手でバットを振るしぐさをしながら「バスター!!バスター!!」と叫んだ。

 実際に川島はバットを引き、強攻策に出た。だが能見は内角ギリギリに直球を投げ込み、投ゴロ併殺打に仕留めた。そのシーンに西岡は「ハハッ、あれは直感。試合に出てるところの感覚」と多くを語らなかったが、打者のしぐさ、相手ベンチのサインに何らかの確信がなければ周囲に伝えることはできない。

 六回の中前打と合わせて復帰初戦でいきなりマルチ安打を放ち、走攻守で躍動した。その結果以上に価値がある高次元の野球‐。西岡の力は簡単に数字で測れない。勝てる野球を実戦できる男が帰ってきた今、チームの、そしてペナントの流れが劇的に変わる可能性がある。

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