良太サヨナラ呼ぶ三塁打!追撃二塁打も

 「交流戦、阪神3‐2西武」(5日、倉敷)

 真っ先にベンチを飛び出した。ヒーロー西岡に飛びつき、乱舞する。やっと勝利に貢献できた。そんな感慨が胸に押し寄せ、幸せをかみしめた。

 「チームに迷惑ばっかりかけて…。大丈夫だ!頑張れ!と、皆が声を掛けてくれたから」

 阪神・新井良は込み上げるものを抑えるように、そうつぶやいた。倉敷の猛虎ファンの大歓声に見送られながら、バスに乗り込んだ。もがき苦しんだ開幕4番が劇的勝利をけん引した。

 念仏をとなえるように、打席に入った。「コンパクトに、コンパクトに…」。同点の九回先頭。7番打者が大石をとらえた。カウント2‐2から外角速球に腕を伸ばした。打球が痛烈な弾道で右翼フェンス上部に直撃すると、良太は迷わず三塁へ。願ってもないサヨナラ機をおぜん立て。1死後、桧山敬遠を挟んで西岡の快音がこだました。

 前夜は宿舎の自室でサッカー日本代表のW杯出場決定試合を観戦した。小学時代はサッカー少年。低学年でリフティングを軽く100回突破する素質は仲間内でも際立っていた。それでも、厳格な父親が兄貴浩を通じ「お前は野球じゃ!」と一喝。鶴の一声で、いつしか兄の背中を追うようにバットを握っていた。「サッカーをやっていたら、自分はプロになれていない」。野球に導いてくれた父への感謝を忘れず、精進を重ねてきた。

 14打席無安打でこの試合を迎えた。早出で兄と並んで打撃練習を行い、和田監督から直接指導を受けた。「力で解決しようとするな」。上半身優先の打撃にメスが入り、「バッティングは下(半身)だ」と指揮官から諭された。1打席目に三塁ゴロに倒れ連続無安打は15打席に伸びたが、五回に野上から左中間二塁打を放ち、長いトンネルを脱出。マートンの適時打で同点に追いついた六回、なおも1死満塁の場面で空振り三振に倒れた。

 「あそこで1点取れていたら…」。殊勲打より未熟さを反省しながら、前進を誓った。良太の巻き返しが始まる。

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