「誰からも嫌われたくない」無理して周囲に同調、心身ともにぐったり 八方美人でお疲れの人に伝えたいこと【臨床心理士が解説】
職場やプライベートで「全員に好かれたい」「誰からも嫌われたくない」と八方美人に振る舞い、自分の本音を押し殺してまで周りに合わせてしまう人がいます。しかし、そうやって気を使い続けた結果、手元に残るのは気疲れする浅い付き合いや、都合よく扱われる消耗ばかりで、心身ともに疲れ果ててしまうケースも少なくありません。
なぜ自分を抑えてまで「好かれよう」としてしまうのでしょうか。八方美人をやめて自分らしい人間関係を再構築するコツや、好かれるのを手放す心理的メリットについて、臨床心理士・公認心理師で、恋活・婚活スクール【and her】を運営されている田口ともさんに話を聞きました。
■幼少期の体験が原因の可能性も
ーなぜ「全員に好かれたい」と思い、八方美人になってしまうのでしょうか?
原因のひとつとして、幼少期の家庭環境などで培われた人とのかかわり方が、大人になっても強い思い込みとして残っている点が考えられます。例えば、厳格な親の顔色を伺い、場の空気を和ませる役割を演じ続けてきた人は「我慢して場を収めること」が習慣化しています。
その関わり方が「誰からも嫌われてはならない」「みんなと仲良くしなければならない」という固定観念へ変化し、どの場面でも自分の本音を押さえて八方美人に振る舞ってしまう要因になると考えられます。
ーなぜ本音を押さえる人の元に「都合よく利用する人」が集まりがちなのでしょうか?
依頼する側も「断られたり嫌な顔をされたりしたくない」という心理を抱いているからだと考えられます。一度でも断ったり不機嫌な態度を見せたりする人には頼まなくなり、逆にニコニコと喜んで引き受けてくれる人に頼み事が集中するようになります。
本音を押さえて過剰に愛想よく振る舞う姿勢が、結果として相手に「この人なら都合よく頼める」と察知され、利用されやすくなる悪循環を生み出しているのです。
ー「人に好かれるのを手放す」ために、試してみると良い方法を教えてください。
まずは「自分も一度、誰かを徹底的に嫌いになってみる」ことがおすすめです。全員に好かれようとする人は、「自分も全員を好きでいなければならない」という考えに陥っている場合が多いです。
苦手な人や嫌いな人がいてもいいと自分の感情を認めると、「誰かに嫌われても世の中は何も変わらない」と納得します。無理に全員を愛そうとせず、嫌う自由を自分に許可することが第一歩です。
ー嫌われる恐怖を克服し、本音で付き合える人間関係を再構築するコツはありますか?
「こうあるべき」という一つの正解を相手や自分に求めず、人間関係や感情は流動的なものだと捉え直すことが大切です。好かれたり嫌われたりするのは相手の解釈であり、こちらで完璧にコントロールすることはできません。
無理な取り繕いをやめて本音を伝え合える関係を少しずつ深めることで、都合のよい付き合いから脱却し、お互いを尊重し合える健康的で自分らしい関係を築けます。
◆田口とも(たぐち・とも) 臨床心理士/公認心理師/LCIQ®︎診断士
「どうせ自分なんて恋愛も結婚もできない…」と自信をなくしている方の背中をピシッとさせてポンッと押したい、という想いから恋活/婚活スクール【and her(あんどはあ)】を運営。あなたを「また会いたい」そして「ずっと一緒にいたい!」と思われる人に育てます。
(まいどなニュース特約・長澤 芳子)
