働いていても生活保護を受けられる? シングルマザー34歳、3歳長男と2人暮らし 手取り月10万円…誰にも相談できず 【社会福祉士が解説】

地方都市で暮らす34歳の中村ゆきさん(仮名)は、保育園に通う3歳の長男と2人で暮らしています。1年前に離婚し、今は近所のスーパーでパートとして働いています。

勤務は平日の午前9時から午後2時まで。長男はまだ3歳で、体調を崩して仕事を休むこともあります。保育園の送迎や家事、育児を一人で担っているため、これ以上勤務時間を増やすのは難しい状況です。手取りは月約10万円で、ほかに児童扶養手当を受け取っていますが、養育費はありません。月4万円の家賃と食費、光熱費を払うと、手元にはほとんど残りません。

先月は長男が発熱を繰り返し、1週間ほど仕事を休みました。給料は約3万円減り、家賃の支払いが初めて遅れそうになりました。

生活保護も頭に浮かびましたが、「働いているのだから対象外のはず」と考え、誰にも相談できずにいます。働いて収入がある場合でも、生活保護を受けられることはあるのでしょうか。

■「働いているから対象外」とは限らない

生活保護は、資産や能力、利用できるほかの制度などを活用してもなお生活に困窮し、世帯の収入が国の基準で計算した最低生活費に満たない場合に、対象となる制度です。働いて収入がある人でも、対象となる場合があります。

判断は世帯単位です。国の基準で計算した世帯の最低生活費と世帯の収入を比べ、収入が下回る場合に差額が保護費として支給されます。最低生活費は世帯の人数や年齢、地域によって異なり、ひとり親世帯への加算(母子加算)もあります。また、家賃については住宅扶助があり、地域や世帯人数などに応じた上限額の範囲内で支給されます。

収入には、給料のほか児童扶養手当などの手当や親族からの援助も含まれますが、給料については、勤労控除などにより、実際の収入額から一定額を差し引いて収入として認定する仕組みがあります。

一方で、預貯金などの資産や、利用できるほかの制度があれば、原則としてまずそれらを活用することが求められます。資産の種類や生活状況によって取り扱いが異なるため、詳しくは福祉事務所で確認してください。

■まずは福祉事務所で、今の暮らしを具体的に伝える

生活保護を検討する時には、まず福祉事務所で現在の暮らしの状況を伝えます。相談する際のポイントは、次の通りです。

▼相談・申請の窓口

相談や申請は、住んでいる地域を担当する福祉事務所の生活保護担当が受け付けています。福祉事務所は福祉に関する事務を担う行政機関で、都道府県と市、東京23区には設置が義務付けられています。福祉事務所を設置していない町村では、町村役場でも手続きができます。

▼伝えておきたいこと

毎月の給料や手当の額、家賃などの支出、家族構成、預貯金の額を具体的に伝えます。働いている人は、勤務時間に加え、保育園の送迎や子どもの急な病気など、勤務を増やしにくい理由も伝えておきましょう。給与明細や通帳、賃貸借契約書があれば話を進めやすくなりますが、書類がそろっていなくても申請はできます。

■「働いているから無理」と決めつけず、まず相談を

ゆきさんは、給与明細と賃貸借契約書、通帳を持って市の福祉事務所を訪ねました。毎月の収入と支出に加え、保育園の送迎や子どもの急な体調不良があり、勤務時間を増やしにくいことも伝えました。

担当者からは、働いていても世帯の収入が最低生活費に届かなければ対象になる可能性があると説明を受けました。ゆきさんはその日のうちに申請し、収入や資産、生活状況などについて確認を受けることになりました。

「働いているから無理だと思い込まず、まず相談してみればよかった」とゆきさんは話します。働いて収入があっても、生活保護の対象となる可能性があります。「働いているから対象外」と決めつけず、生活が苦しいときは福祉事務所に現在の状況を相談してみてください。

【監修】鍋島 千紘(なべしま ちひろ)社会福祉士・保育士・Webライター。社会福祉士として12年間、障害・障害児福祉分野を中心に、直接支援や相談業務に従事。現場で培った知識と経験をもとに、専門性と正確性を大切にしながら、読者に寄り添ったわかりやすい記事の執筆・監修を行っている。

(まいどなニュース/もくもくライターズ)

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