「夏は風呂場の暑さがこたえる」「1日の入浴人数にノルマ」入浴介助という激務 知られざる現場の声を聞いた

介護現場の中でも、特に身体的負担が大きい業務として挙げられているのが「入浴介助」です。狭い浴室内で行う中腰姿勢や、濡れた床での移乗介助、さらに夏場の高温多湿な環境など、介助者には心身の両面で大きな負荷がかかります。しかし実際には、「どれほどの時間を入浴介助に費やしているのか」「何に負担を感じているのか」「身体へどの程度影響が出ているのか」といった実態が、具体的な数値として語られる機会は、あまり多くありません。

シャワー入浴機器を展開する「美浴(びあみ)」と株式会社NEXERが共同で実施した「介護職における入浴介助の負担実態に関するアンケート」によると、介護職で働いたことのある人の8割以上が「入浴介助は他の業務より身体的・精神的な負担が大きい」と回答していることがわかりました。

この調査は、事前調査で「介護職として働いた経験がある」と回答した全国の男女50人を対象として、2026年5月にインターネット上で実施されました。

まず、業務の中で入浴介助に1日あたり、どの程度の時間を費やしていたのかを聞いたところ、最も多かったのは「30分~1時間未満」で22.0%、次いで「1~2時間未満」が20.0%という結果になりました。

さらに、「2~3時間未満」は18.0%、「3時間以上」は6.0%となり、合計24.0%の人が1日のうち2時間以上を入浴介助に充てていたことが分かります。一方、「30分未満」は16.0%でした。

また、「日によって大きく異なる」と回答した人も18.0%おり、日によって業務量にばらつきがあることもうかがえます。

次に、入浴介助の負担について聞いたところ、「非常に負担が大きい」と回答した人は52.0%、「やや負担が大きい」は30.0%となり、合計82.0%が、入浴介助は他の介護業務と比べても負担が大きいと感じていることが分かりました。

一方で、「同程度」は14.0%、「あまり感じなかった」は4.0%にとどまっています。

このことから、介護職経験者の8割以上が、入浴介助を身体面・精神面の両方で負担の大きい業務として認識していることがうかがえます。

◆負担感が大きいと回答した理由

・夏は特に風呂場の暑さが身体にこたえる。(30代・男性)

・認知症の方だと浴室まで連れて行くのに時間がかかることがよくあるうえに、1日の入浴人数のノルマのようなものがあり、プレッシャーがかかるから。(30代・女性)

・転倒事故に注意する必要が他の介助より大きいから。(40代・男性)

・ユニットケアで1対1だったが、1人で介助するのでその分、責任が大きかったのと、夏は暑くて負担が大きかった。(40代・男性)

・利用者1人にかける時間が決まっているので、ある程度急いでやらないといけないから。(40代・男性)

・入所者の体を持ち上げたり洗ったりするのは、非常に力が要ります。(60代・男性)

続いて、入浴介助で特に「つらい、大変だ」と感じた場面は何かと、複数回答可で聞いたところ、最も多かった回答は「中腰姿勢による腰への負担」で、62.0%にのぼりました。

続いて、「利用者の転倒リスク・ヒヤリハット」が58.0%、「着脱介助」が44.0%、「利用者の移乗・移動介助」が42.0%、「浴室内の高温・湿度」が40.0%という結果となっています。

中でも、中腰姿勢による腰への負担や、転倒リスクへの対応、利用者の身体を支える動作などが上位を占めており、入浴介助が介助者に対して身体面・精神面の両方で大きな負担を与えていることがうかがえます。

特に、濡れた床の上で裸の利用者を支える場面では、わずかな動きでも転倒につながる可能性があるため、肉体的な疲労だけでなく、常に注意を払う精神的な緊張も蓄積しやすい業務だといえそうです。

さらに、「入浴介助が原因で、身体的な不調(腰痛・肩こり・熱中症など)を経験したことはありますか」と聞いてみました。

その結果、「ない」と回答した人は52.0%、「ある」は48.0%となりました。

約半数の介助者が、入浴介助によって腰痛や肩こり、熱中症など、何らかの身体的不調を経験していることが分かります。

この結果から、入浴介助は日常業務の一つでありながら、身体への負担や健康リスクを伴う、見過ごせない業務であることがうかがえます。

最後に、「入浴介助に関して、負担に感じた経験や改善してほしい点」について聞いてみたところ、以下のような回答が寄せられました。

・利用者の身体は冷やさずに、介助者の熱中症対策ができるように改善してほしい。(30代・男性)

・入浴を何時から何時までに終わらせる、というのではなく、日勤帯の間に終わらせる、として入浴専門のスタッフを設置してほしい。(30代・女性)

・機械化してほしいです。(40代・男性)

・お風呂内と外の温度変化を何回も体感するので、それが疲れる。(40代・女性)

・人手不足により1人あたりの介護士にかかる負担が大きい。(40代・男性)

・狭い浴室で体の端から端まで洗うため、変な体勢で行うことがあり、首、腰、足に負担がかかる。個人宅だと、なかなか大きな改善はお願いできないが、シャワーチェアは導入予定してもらえると安定感、立位、立ち上がりに、ご利用者の負担も軽減できると思う。(50代・女性)

・自動入浴機などがあれば助かると思います。(60代・男性)

【出典】

株式会社NEXERとシャワー入浴機器の美浴(びあみ)による調査

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