記憶を頼りに描かれた「アロワナ」がヒドイ イグアナ、ティッシュ箱……だと?「とにかく…一度来てください」横浜・八景島シーパラダイスの電車広告
「やめてくれないか! 電車の中で人を笑わせにくるのは!」
そんなコメントとともにXに投稿された、横浜・八景島シーパラダイスの電車内吊り広告が注目を集めています。
広告のテーマは「記憶だけを頼りに描いてもらいました」。来館者が、想像で「アロワナ」を描いたものです。しかし、そこに並んだイラストは、いずれも思い思いの方向へ広がっており、見た人の想像をくすぐる仕上がりになっています。
「女性 28才」が描いたのは、角のような突起や脚、長い尾を持つ爬虫類のような生きもの。精巧で画力の高さが伝わる一方、アロワナというよりイグアナを思わせる姿です。
「男性 22才」のイラストは、口と尾びれを備えたシンプルな魚の形で、4点の中では実際のアロワナに比較的近い印象があります。
さらに、「男性 14才」の絵は、四角い本体の上にギザギザが少し描かれた、かなり抽象的なもの。何かの箱や包みのようにも見え、見る人によって受け取り方が分かれそうです。
そして、「男性 75才」のイラストは、鱗の模様やヒレ、目、口まで丁寧に描かれた魚の姿。魚らしい質感はあるものの、アロワナの特徴とは少し違う、独特の味わいがあります。
広告の下部には、「とにかく…一度来てください。」という一言。実際のアロワナを見に行きたくなる、絶妙な仕掛けになっています。
投稿には16万件超の“いいね”が集まり、「それアロワナちゃう、イグアナや」「記憶は完全に間違ってるのに画力高いw」「ティッシュ箱でも模写したのかな?」「左下は、太刀魚の切り身では?」「非常に巧い広告。これは行きたくなる」など、ツッコミと感心の声が入り混じり、盛り上がりを見せています。
投稿した、すこやかむいむいさん(@sukoyakamuimui)と、横浜・八景島シーパラダイスの広報担当者にお話を伺いました。
■投稿者さんも実際に描いてみた結果は…
自身のXでイラストや漫画を投稿している投稿者さん。今回の投稿後には、この広告にならって、記憶を頼りに描いた生きもののイラストも公開し、好評を得ています。
投稿当時、投稿者さんは横浜・八景島シーパラダイスへ向かっている途中でした。電車内でこの広告を目にしたときのことを、「うろ覚えで絵を描くことはよくあるけれど、あまりの衝撃に電車内ながら吹き出しそうに--。思わず、撮影してしまいました」と振り返ります。
特に印象に残ったのは、「女性 28才」が描いたイラストでした。
「アロワ……イグアナじゃねーか!」
思わず、そうツッコミを入れたくなったという投稿者さん。完成度の高さもあって、「本気なのかふざけているのかわからない」と感じたそうです。
そこで、投稿者さん自身も試しに描いてみることに。記憶だけを頼りに生きものを描く難しさも実感したといいます。
「カモノハシは一番よく描けたと思ったのですが、結果、すごく気持ち悪くなっちゃいました…。個人的には、カピバラの仕上がりがショックです」
一方で、「ダンゴウオとウォンバットは見た人が笑ってくれたのが良かったです」とも教えてくれました。
ふだんからイラストに親しんでいる投稿者さんにとっても、記憶だけで描くことには意外な難しさがあったようです。広告を見て笑い、実際に描いてみてまた笑う。見る人の中に参加したくなる気持ちを生むところも、この企画の魅力といえそうです。
はたして、横浜・八景島シーパラダイスがこの広告を展開した狙いとは--。
■集まったイラストは約600枚、“正解”はシーパラに
横浜・八景島シーパラダイスの広報担当者によると、広告に使用されたイラストは、同施設内のインフォメーションと公式Xで募集したものだといいます。
「より多くの方々に生きものの魅力について興味を持っていただき、当施設で生きものの魅力をリアルで体感していただきたいという思いから企画しました」
寄せられたイラストは、約600枚。記憶を頼りに描かれた生きものたちは、広告として電車内に掲出されることになりました。
「広告は、4月21日から5月8日、京急電鉄 KEIKYU BLUE SKY TRAIN 2100形の吊り広告として展開。また公式Xや公式Instagramでも紹介させていただきました」
今回の投稿をきっかけに、さらに注目を集めた「記憶だけを頼りに描いてもらいました」広告。反響について、広報担当者は次のように話します。
「多くの方々に本企画へ興味をお持ちいただき、また、記憶を頼りに生きものたちのイラストを描いていただいて嬉しく思います」
あわせて、応募者や来館を検討している人へ、こんなメッセージを寄せました。
「このたびはたくさんのご応募ありがとうございました。ぜひ横浜・八景島シーパラダイスにお越しいただき、生きものたちを観察しながら、今回記憶を頼りに描いていただいたイラストと見比べて、生きものの魅力を体感いただければ幸いです」
記憶の中では、少し形を変えてしまう生きものたち。だからこそ、実際に目の前で出会ったときの発見は、より鮮やかに残るのかもしれません。
(まいどなニュース特約・梨木 香奈)
