数分の入浴で疲れ果て数日寝たきり ME/CFSになって一変した私の日常 鉛を背負ったような倦怠感や頭がぼーっとするブレインフォグに命を削られる
入浴を数分で済ませても、その後に数日寝込んでしまうことがある。友人から「治ったら連絡して」と言われたまま、15年以上連絡できずにいる--。
ME/CFS(筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群)を患う「ぷに【たんぽぽ魂】ME/CFS 線維筋痛症」(@angel_pu2_akuma)さん(以下、ぷにさん)は、病気によって大きく変わった日常や、周囲に理解されにくい苦しさをXで発信しています。
ME/CFSとは、強い倦怠感や痛み、睡眠障害、認知機能の低下などが長く続き、日常生活に大きな支障をきたす病気です。5月12日の「ME/CFS世界啓発デー」に合わせて投稿されたぷにさんの発信には、「このような病気があるとは知らなかった」「理解を深めたい」といった反応が寄せられました。
■体と脳の電池が切れ、回復しなくなる病気
ME/CFSについて、ぷにさんは次のように表現します。
「突然、体と脳の電池が切れてしまって、ほとんど回復しなくなる病気です。推定10万~30万人の患者に対し、専門外来は全国で10カ所程度しかなく、確かな治療法も特効薬もなくて、毎日が命を削られるように苦しいのです」
食事やシャワー、歯磨きなどの何気ない動作でも大きな負担になり、少し動いたり考えごとをしたりするだけで、後から「鉛を背負ったような」強い倦怠感や痛み、頭がぼーっとする「脳霧」(ブレインフォグ)が現れ、数日から数週間寝込むこともあるそうです。
併発している線維筋痛症については、「全身が24時間ずっと痛い状態が続く病気」と説明します。気圧や気温差、疲労などで痛みが悪化し、寝ている間にも「痛い!」と叫んでしまうほどの激痛に襲われることがあるといいます。
■入浴後、数日寝込むことも
健康な人の一時的な疲れであれば、休んだり眠ったりすることで、ある程度は回復を感じられることがあります。しかし、ぷにさんはME/CFSの倦怠感について、まったく異なるものだと話します。
「これは、休んでも休んでも回復しないんです。体の中のエネルギーを産む工場が壊れたような感じです」
現在、ぷにさんは重度の症状があり、1日の大半を電動ベッドで横になって過ごしているそうです。家事は夫やヘルパーに頼り、外出は通院のみ。移動にはリクライニング式の電動車いすを使い、夫の介助が欠かせません。入浴も夫の介助で数分で済ませますが、負担は大きく、入浴後は数日寝込むこともあるため、週に1~2回が精いっぱいだといいます。
発症初期の数年は、光や音、風といった刺激だけでも強い痛みにつながりました。テレビの音やまぶしさ、動く映像で脳疲労が起き、エアコンや扇風機の風でも激痛が走ったため、夏でも長袖やサングラスなどで刺激を避けていたそうです。
■「治ったら連絡して」の言葉がつらかった
病名に「慢性疲労」と入っていることで、「ただ疲れているだけ」と誤解されることもあります。ぷにさん自身は家族の理解が深かった一方、友人から「治ったら連絡して」と言われたことが心に残っているといいます。
「頑張っても簡単には治らないと説明しても理解されず、15年以上連絡できないままでいます。友達の世界から消えた“透明人間”のようで、つらかったです」
ぷにさんによると、ME/CFSの患者の中には、「ただの疲れでしょ」「気合が足りない」「甘えている」といった言葉に苦しむ人もいるといいます。外見からは症状が分かりにくいため、「サボっている」と誤解されることもあるそうです。しかし、ME/CFSは単なる疲労ではありません。WHO(世界保健機関)の国際疾病分類では神経系の疾患に分類されており、全身性の神経免疫疾患として理解が進められている身体の病気です。
■「知ること」が支えになる
ぷにさんが一番伝えたいのは、身近な人が病気について理解することの大切さです。その上で、患者が心身ともに無理のない環境で、十分な休養をとれるよう周囲が配慮することも重要だといいます。
「本当に頑張り屋で真面目だった人が、ある日突然動けなくなって、人生が180度変わってしまう病気です。目に見えないし、検査も異常が出にくいから誤解されやすいけど、患者本人はものすごく苦しんでいます。正しい知識を持って、少しだけ配慮してもらえたら、患者は本当に助かります」
ぷにさんは現在も療養を続けながら、ME/CFSや線維筋痛症について発信しています。ただし、医療や福祉制度について助言する立場ではなく、体調への負担も大きいため、個別相談には対応できないとしています。
-患者として自身の経験を伝えることで、「見えない病気」への誤解が少しでも減り、「無理をさせない」大切さが広がることを願っています。
(まいどなニュース特約・山岡 もと子)
