「出社前にトイレで涙が出る…」人事にも親にも「3年は頑張れ」と言われ逃げ場を失った新入社員 元管理職が伝えた“体のSOS”と辞めどき

「せめて3年は頑張って」という根拠のない言葉に縛られ、心と体をすり減らしていませんか。そんな新入社員の追い詰められた苦しみに寄り添い、逃げることの大切さを説いた投稿が、Xで大きな反響を呼んでいます。

投稿したのは「おいぬさん」さん(@oinu_koinu_13)。これまで数多くの退職相談を受けてきた、元管理職の経歴を持ちます。ある日届いた新入社員からのDM(ダイレクトメッセージ)には、「やりがいがない」といった気持ちの上での悩みを超え、「出社前にトイレで涙が出る」という深刻な身体症状がつづられていました。

さらにその新入社員は、会社の人事や親に相談しても「3年は頑張れ」「みんなそうだよ」と返され、完全に逃げ場を失った状態だったといいます。「これは普通の退職相談ではない」と感じた「おいぬさん」さんは、自身の体験も交えながらDMに返信。「体が発する危険信号を見逃さないでほしい」とアドバイスをしました。

その後、「動いてみます。壊れる前に」という返事が新入社員から届き、しばらくして近況の報告もありました。上司に相談して部署異動の方向で動き、朝に涙が出ることはなくなったそうです。

Xの投稿には、同じ苦しみを経験した人からの共感の声が相次ぎました。

「『みんなそうだよ』という言葉が一番きつかった。自分の苦しみを否定された気がして、誰にも相談できなくなった」

「完全に心が壊れてからでは遅いからこそ、環境を変える勇気を持つことは絶対に間違いじゃないです!」

■「辞めどき」の見極め方 元管理職が語る判断軸

「おいぬさん」さんに、自身のキャリアと「最低3年」への向き合い方について聞きました。

「正直に言うと、私自身は『最低3年』を一度も信じたことがないんです。バイト時代から、合わないと思った職場は半年で辞めていました。ただ、社会人になってからは年数ではなく、『ここにいて半年後の自分に何が積み上がっているか』という伸びで判断するようにしていました」

では、もう少し踏ん張るのか、それとも壊れる前に動くのか、どう判断すればいいのでしょうか。

「私の中の判断軸はシンプルで、体がSOSサインを出しているかどうかです。頭で『辞めたい』と思っているうちは、交渉や異動で変えられる余地があります。でも、朝起きた瞬間に動悸(どうき)がする、食事が喉を通らない、通勤中に涙が出る、休日も眠れない……これが2週間以上続いたら、もう踏ん張るのではなく、辞めることを考える段階です」

■職場・家庭で今すぐ変えられること

「人事が『新人は、みんなそうだよ』と返すのは、門前払いと同じ。ジャッジする側ではなく、産業医や外部の相談窓口への『橋渡し役』に徹してほしい」

そう話す「おいぬさん」さんは、親世代の価値観についても語ります。

「終身雇用(一つの会社に定年まで勤め続ける仕組み)を前提にした価値観のまま、令和の労働環境に当てはめてアドバイスをしてしまう。これが、新人の逃げ場を一番奪っていると感じます」

動ける体があってこそ、やり直すことができる--「おいぬさん」さんは、そう考えます。

「『続けること』が偉いんじゃない。『続けられる自分』でい続けることが、何より大事--そのことを多くの人に伝えたい」

(まいどなニュース特約・山岡 もと子)

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