片づけられない、動画視聴をやめられない…ADHDの子を持つ親の苦悩 子育てがラクになる、子どもの特性との向き合い方は?【漫画】

神経発達症(発達障害)のひとつである『ADHD(注意欠如多動症)』は、約5%の小児に見られる特性です。その特性は、不注意(うっかりミスや忘れ物をよくする)、多動性・衝動性(気が散りやすい、思いつきでしゃべる)などがみられます。

著者・本田秀夫さん、漫画・フクチマミさんの作品『最新 マンガでわかるADHDの子どもたち: その子の特性を活かした、独自の処世術』は、そんなADHDについて、30年以上発達障害を診てきた精神科医の観点からケースごとの対処法を描いています。同作はX(旧Twitter)に投稿されると、約4500のいいねが寄せられました。

著者によるとADHDの子たちは、基本的にはそそっかしくて明るい子たちです。とはいえ「日常生活がままならなくて大変なんです!ずっとこのままと思うと…」と嘆く親御さんもいる様子。しかし、実は「多動性」と「衝動性」は成長するにつれ落ち着くため、それぞれのケースにどう向き合っていくかがポイントです。

例えば、小学6年生のあおいは、とにかく片付けるのが苦手な子です。成長するにつれ少しずつ片付けができるようになりましたが、それでもまだ部屋は散らかったままでした。

これに見かねたあおいの父が「散らかりすぎ 片づけて!!」と言うと、あおいは渋々「はーい」と返事をします。しかし、それからしばらくして父親が部屋を覗くと、あおいはまったく片付いていないうえに漫画を読んでいたのです。

どうやらあおいは、どこから片付けを始めたらいいか分からなくなり、ふと目に入った漫画を読んでしまったようです。このケースでの対処法として、著者は「散らかしてもいい場所」や「大事なものボックス」を作り、まずは物を仕分けするところから始めることを勧めています。

次の事例として挙げられているのが、小学3年生のりくとです。彼は物ごとの切り替えがうまくできません。母親が「そろそろ夕飯だよ 動画おしまいにして」と言うと、タブレットで動画を観ていたりくとは「ちょっと待って」と言います。

その後ごはんが完成しても、りくとはリビングにやってきません。母は再びりくとの元に行くと、動画を見終えたと思った途端、次の動画を見始めたのです。呆気にとられた母は、なぜ次の動画を見始めたのか聞くと、りくとは「わかってるって!」と言います。母は「それならさっさと来なさい!」と叱ってしまうのでした。

著者によると、このような子たちは、衝動性の高さから「やめなきゃ」の気持ちより「見たい!」の興味が上回ってしまうようです。そのため、動画の終わりのタイミングを見計らい、「ここでやめられる?」と声をかけることを解決策として提案しています。

最後の事例は、中学1年生のひかるの金銭管理についてです。彼はおこづかいの管理がうまくできません。その月も、渡したばかりのおこづかいをすべてグッズくじに費やしてしまいました。

大量のグッズを抱えて帰宅したひかるに、母親は呆れながら「追加でおこづかいあげないからね?」と言います。しかし後日、ひかるは「好きなマンガの新刊が発売されたから買いたい」と言い、おこづかいとは別にお金をねだってくるのでした。最初は「おこづかいで買ったら?」とお金を渡さないつもりでいた母親でしたが、ひかるにしつこくねだられたため、最終的には追加でおこづかいを渡してしまいます。

著者によると、こういう子は計画的に使うのが苦手なため、おこづかいルールの見直しを提案しています。そもそもおこづかい制ではなく、欲しいものを見つけたタイミングでその都度交渉をするルールの方がうまくいくケースもあるようです。

読者からは「自分の子どもに参考になりそう!」「まさに自分のことだ…」などの声が寄せられています。そこで、漫画を執筆したフクチマミに話を聞きました。

■ADHDの診断がなくとも、お子さんへの接し方に悩んでいる人に読んで欲しい

-『最新 マンガでわかるADHDの子どもたち』はどういった本なのでしょうか

一般的にADHDの特性を持つお子さんって、家庭や学校で叱られがちなんです。でもADHDのそそっかしさは叱られて治ったり矯正できるものでもない。それどころか自信や自尊心を失ってしまいかねない。

だからこそ必要なのは「そそっかしいまま」で子どもも親もラクになれるコツなのだと思います。この本では具体的なケースをマンガに、それに対する考え方や対応のコツを文章で読みやすく紹介しています。

-ADHDのお子さまやその親を描くにあたり、どのような点を意識して表現されましたか

30年以上発達障害の診察と研究に携わっている本田先生は、ADHDの子どもは「本来明るい子が多い」とおっしゃっていました。単なる「困った子」としてではなく、その生来の明るさや憎めなさの愛らしさを長所として、しっかり入れていきたいと思いました。

またADHDの特性は日本社会の文化では「しつけができていない」と捉えられがちで、それによって多くの親は追い詰められます。だからこそ、それぞれの親がしっかり子どものことを考え、悩みながら育てている…という実際の姿を伝えられるよう意識しました。

-この本をどのような方に読んでいただきたいでしょうか

「そそっかしい」「落ち着きがない」「忘れ物や遅刻をよくする」「お金の使い方にヒヤヒヤする」「約束を破りがち」といった傾向のあるお子さんへの接し方に悩んでる方は、読んで頂けるとかなり参考になると思います。

ADHDの診断があってもなくても「子どもがその子らしくのびのび育つこと」を大切にされている本田先生のアドバイスは誰にも共通で活きると感じています。

(海川 まこと/漫画収集家)

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