19歳で旅立った愛猫、亡くなる4日前に月夜の散歩「お別れが近いんだ」やせ細った体を抱いて帰った「今でもそこにいるような」

一緒に過ごせた19歳と10ヶ月間は、宝物。愛猫レイちゃんとの日々を、そう振り返るのは、飼い主の「猫といる幸せ」さん(cIFzdYyGyvXRdbc)だ。

「生クリームが大好きな子でした。口の状態が悪くなって強制給餌をし始めてからも、クリームには目を光らせて。医師に、好きなもの食べさせてと言われてから、レイはクリーム、私は周りがお決まりでした」

■新聞で里親募集されていた“兄妹猫”を迎えて

2006年12月、3匹目として迎えた愛猫を早くに亡くした飼い主さんは悲しみに暮れた。そんな時、目に留まったのが、新聞に掲載されていた子猫3兄妹。里親に立候補すると、対面時、旦那さんはレイちゃんに一目惚れ。悩んだが、兄猫も一緒に迎えた。

先住猫りんごちゃんがいた頃、レイちゃんは控えめな性格だった。だが、りんごちゃんが亡くなり、一番年上になると、女王様に。お気に入りの場所や娘さんの膝上は、誰にも譲らず。同居猫がいてもお構いなく、居座った。

ただ、同居猫たちに怒ることはなく、ほどよい距離感を保っていたそうだ。家庭内が一番賑やかだったのは、レイちゃん、くーちゃん(サビ)、もものすけくん(ハチワレ)の3ニャンがいた頃。

「喧嘩せず、ふと気づくと、くっついて寝ていることがありました」

レイちゃんが好きだったのは、「かわいい」と褒められること。飼い主さんは、よだれ掛けやエリザベスカラーをつけるレイちゃんを「こんなに似合う子はいない」と褒めちぎっていたそうだ。

■老いていく愛猫を精一杯、愛した日々

くーちゃんともものすけくんが病気で亡くなったこともあり、飼い主さんはレイちゃんの健康チェックをより徹底するようになった。猫の1日は人間の3日。そう心に刻み、些細な異変すら見落とさないように努力したのだ。

こまめな健康チェックにより、14歳の頃には甲状腺機能亢進症を発見。この病気はシニア猫の発症が多く、食欲旺盛なのに体重が減るという特徴がある。治療のため、レイちゃんは2種類の薬を服用し始めた。

3年後の2023年1月には、難治性の口内炎が発覚。毎週、レーザー治療を受けに通院し、症状がひどい時にはステロイド注射や点滴も行った。

「ハイシニアになったら、過保護でいいと思ってます。高齢になってからは、要求が通るまで鳴くようになりました」

2024年には膵炎を患うも、回復。生命力の強さを見せてくれたが、2025年1月、食欲不振に。3.75kgあった体重は、あっという間に2.6kgになった。体重を増やさなくては…。医師と相談し、強制給餌を開始する。

「この頃は飲んでいた猫用ミルクの製造が中止になり、焦りました。シリンジを見ると隠れていたので、1日5回のお薬、嫌だったと思います」

家族は、よりレイちゃん中心の生活を送るようになった。トイレの後や寂しい時などに、レイちゃんが鳴けば、すぐ傍へ。娘さんは、よだれで固まってしまう被毛を丁寧にほぐしていた。

「おばあちゃんになったレイに、なんでもしてあげたかったんです」

■亡くなる前の習慣だった“レイ散歩”

2025年6月、レイちゃんは肺水腫に。「もう、もたない」と診断されたが、すがる想いで頼み、弱めの利尿剤治療を開始した。

「そしたら、お薬が効いて持ち直してくれたんです。先生は、『奇跡の猫ちゃん、頑張ったね』と労ってくれました」

しかし、2ヶ月後の2025年8月頃、血尿が見られた。原因は、加齢による腎臓の収縮だったという。

「痛みはなかったので、寄り添いながら好きなように過ごしてもらうことにしたんです」

体力が残っていないはずのレイちゃんは、なぜか頻繁に外へ出たがった。もう全部、好きにさせてあげたい。そう思い、家族はレイちゃんと田舎の細道を散歩するようになった。

今でも忘れられないのは、亡くなる4日前に見たレイちゃんの姿だ。その日は夜12時頃、レイちゃんにせがまれて散歩へ。懐中電灯を持って、レイちゃんの横をゆっくりゆっくり歩いた。

「レイは決まって、自宅前にあるマンションの駐輪場で置きっぱなしの壊れた自転車の匂いを嗅ぎ、猫じゃらしの前で立ち止まります。田んぼのあぜ道で流れる水をしばらく見た後、引きずるような足音に変わりました」

お別れが近いんだ。飼い主さんはなんとなく、そう感じ、レイちゃんを抱いて帰宅した。

「今でも、レイの散歩コースを辿ると、そこにレイがいるような気がします」

■「どんなに癒してもらったか」亡き愛猫を思い続ける毎日

2025年8月10日、レイちゃんは何も食べず、よろよろしながらお風呂場へ。その後、何かを伝えるように、小さく「ニャア」と鳴いた。

「病気をしてからは『ヒャー』と叫ぶような声で呼ぶようになったので、その声を聞いた時、これがレイの本当の声なんだと思いました」

夜、一緒に布団へ入ってからは、弱い息をするレイちゃんの鼓動を何度も確認。朝方、浅く息している姿を見て、そっとしてあげようと思い、少しの間、部屋を空けた後、様子を見戻った。

すると、レイちゃんは足を上にあげて空を2~3回掻き、天寿を全うしたという。

「正直、まだ辛さのほうが大きいですが、SNSに寄せられた『今も一緒です』や『レイちゃん、幸せでしたね』の言葉には励まされました」

子どもたちと共に成長し、我が子が巣立った後もそばに寄り添ってくれたレイちゃんは、飼い主さんにとって、永遠にかけがえのない存在。

どんなに癒してもらっていたか、と今も在りし日に想いを馳せる。飼い主さんが心で亡き愛猫を思った時、虹の橋ではきっと優しい花が降っていることだろう。

(愛玩動物飼養管理士・古川 諭香)

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