保護猫の2割が“キジトラ”なのに…なぜ譲渡会で選ばれない? 個性豊か、“意外な魅力”を知ってほしい
「センターで保護される猫の約2割はキジトラです」。
神奈川県動物愛護センターの公式X(旧Twitter)の投稿が、猫好きの間で注目を集めている。
投稿では、キジトラ猫について「他の毛色の猫と比べると譲渡の声がかかりにくい」としつつ、「顔や体つき、性格もみんな様々で、個性豊かなところが魅力」と呼びかけた。
リプライ欄には、「キジトラは最高」「賢くて甘えん坊」「警戒心が強いけど慣れると可愛い」といった声が多数寄せられ、改めてその魅力に注目が集まっている。
ではなぜ、キジトラ猫は多く保護される一方で、譲渡につながりにくいのだろうか。
■なぜキジトラ猫が多いのか
同センターによると、保護される猫の中にキジトラが多い背景には、「多頭飼育崩壊」があるという。
飼いきれなくなった猫がまとめて引き取られるケースでは、同じ家系の猫が多く、似た毛色になる傾向がある。さらにキジトラは遺伝的に優性とされており、その結果、センターに収容される割合が高くなると考えられている。
現在(3月25日時点)、センターには猫78頭が保護されており、その中でもキジトラは一定数を占めている。
■“目立たない”ことがハンデに
一方で、キジトラ猫は他の毛色に比べて譲渡の声がかかりにくい傾向があるという。理由のひとつが、「見た目の目立ちにくさ」だ。
白や三毛、茶トラなどに比べると、キジトラは保護色に近く、第一印象で目に留まりにくい。また、警戒心が強い個体が多く、人前で積極的にアピールしないことも影響しているとみられる。
ただし、すべてのキジトラがそうとは限らない。人懐っこく、来訪者に自ら近づく“アピール上手”な猫は、比較的早く譲渡が決まるという。
■「甘えん坊で賢い」…飼い主のリアルな声
センター職員の中にも、キジトラ猫と暮らした経験を持つ人は多い。
「複数飼いましたが、人懐っこい子が多かったです」
「普段は天真爛漫ですが、野性的な勘が鋭く、地震の際には真っ先に安全な場所へ移動しました」
こうした声からは、警戒心の裏にある“賢さ”や“たくましさ”がうかがえる。
また、「毛色で選んだわけではなく、たまたま出会ったのがキジトラだった」という意見もあり、最終的には“縁”が大きいことも印象的だ。
■実は“猫らしさ”が最も強い存在
キジトラの魅力について、センターはこう語る。
「猫の祖先とされるリビアヤマネコに最も近い毛色で、野生の強さを感じられます」
控えめで慎重な性格の個体が多い一方で、一度心を許すと「撫でてほしい」「遊んでほしい」と甘えてくる…そんなギャップも大きな魅力だという。
リプライでも、「警戒心が強いのに甘えん坊」「慣れるととても可愛い」といった声が目立ち、多くの飼い主がその魅力を実感していることがわかる。
■保護猫を迎える前に知ってほしいこと
同センターでは、犬や猫の保護・譲渡を行う行政機関として、適切な飼育の重要性も呼びかけている。保護されている猫の多くは成猫で、性格や大きさがある程度分かっているため、生活スタイルに合った個体を見つけやすいというメリットがある。
一方で、新しい環境に慣れるまで時間がかかることや、過去の経験から不安定になる場合もある。「重要なのは、二度と手放さないこと。愛情をもって大切に飼ってほしい」と担当者は話す。
キジトラに限らず、どの猫にもそれぞれの個性があり、“選ばれにくい”という理由だけでその魅力が見過ごされている可能性もある。センターでは、神奈川県および隣接都県(東京都、山梨県、静岡県)を対象に譲渡を行っている。
見た目の印象だけでなく、実際に会ってみることで、新しい家族との出会いが生まれるかもしれない。
(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)
