夫に浮気疑惑浮上→指紋認証でスマホにログイン→腹いせに夫のIDやPWで課金し倒した! 家族間でも不正アクセスは犯罪か?【弁護士が解説】

30代女性のAさんは、最近夫の行動に不審な点を感じ浮気を疑っていました。ある夜、夫が寝静まったのを見計らい、Aさんは夫の指を使ってスマートフォンの指紋認証を突破。LINEやSNSのメッセージをくまなくチェックしました。

しかし決定的な証拠は見つけられなかったAさんは、日頃のストレス発散と腹いせのために暴挙に出ます。その暴挙とは、夫のアカウントにログインしたまま、高額なゲーム内アイテムを次々と購入し、さらに複数の有料動画サイトに勝手に契約することでした。

翌月、数万円にのぼる身に覚えのない請求に気づいた夫は激怒し、Aさんに対して法的措置を検討するほどに。家族のIDやパスワードを無断で使用する行為は、法的にどのような罪になるのでしょうか。まこと法律事務所の北村真一さんに聞きました。

■ログインしただけで「不正アクセス禁止法」違反

ー夫のIDやパスワードを勝手に入力してSNSやショップサイトにログインする行為は、罪に問われますか?

「不正アクセス禁止法違反」に該当する可能性が高いと思われます。

この法律は、他人のIDやパスワードを無断で使用し、ネットワークを通じて本来はアクセス制限がかかっているコンピュータ(サーバー)にログインする行為を禁じています。例え浮気調査が目的だったとしても、また実際に金銭的な被害が出ていなかったとしても、ログインに成功した時点で罪は成立します。

さらに、今回のように勝手に課金や契約をした場合は「電子計算機使用詐欺罪」などの重い罪に問われる可能性も出てきます。

ー夫婦や親子であっても、法律上は「アクセス権限のない第三者」として扱われるのですか?

夫婦であっても、デジタルアカウントのアクセス権限は、サービス提供者と契約した「利用者本人」にのみ帰属します。

「家計が同じだから」「夫婦だから」という理由は、法律上、他人のアカウントに無断で入る正当な理由にはなりません。スマートフォンのロックを無理やり解除したり、パスワードを盗み見たりしてログインする行為は、プライバシーの侵害であると同時に、法的な処罰の対象になり得るのです。

ー窃盗罪などには「親族相盗例(親族間の犯罪は刑を免除する規定)」がありますが、不正アクセスにも同様の特例はありますか?

刑法上の窃盗罪や詐欺罪であれば、夫婦間のトラブルとして刑が免除されることもありますが、不正アクセス禁止法には、親族間の特例はありません。つまり、夫が本気で告訴し、警察が受理すれば、例え妻であっても逮捕や処罰を免れることはできません。

実際に、離婚調停中ではあるものの、妻のメールを不正に盗み見た男性が逮捕された事例もあります。たとえ親密な関係であっても「不正アクセス」は厳しく処罰されます。

相手の浮気に腹が立っても、法を犯してしまえば、本来被害者であるはずの立場が、一転して加害者になりかねません。冷静な話し合いや法的な手続きでの解決を図り、デジタルな報復は絶対に行わないでください。

◆北村真一(きたむら・しんいち) 弁護士

「きたべん」の愛称で大阪府茨木市で知らない人がいないという声もあがる大人気ローカル弁護士。猫探しからM&Aまで幅広く取り扱う。

(まいどなニュース特約・長澤 芳子)

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