数万のミジンコが生み出す水槽の中の“銀河” 巨大な渦の正体は「ミジンコトルネード」 不思議な現象をミジンコ研究者が解説

水槽の中で無数のミジンコが統制された渦を描く様子を捉えた動画がXに投稿され、まるで銀河系のようだと話題になっています。投稿したのは、ミジンコの腸内細菌を研究しているみじんこ~さん(@Lupico_D)。リーダーもいないのになぜ渦が生まれるのか…研究者の解説も注目されました。

数万匹のミジンコが生息する水槽。ミジンコたちはいっせいに同方向へ回り、巨大な渦を形成しています。統率する存在がいるわけでもないのに、まるで意思を持っているかのように整然と円を描いています。

大反響の動画には「銀河みたい」「CGかと思った」など驚きの声が相次ぎました。目を引いたのは圧巻の迫力だけではありません。なぜ小さなミジンコたちが誰に指示されるでもなく秩序ある動きを見せるのか…その神秘に多くの人が心を奪われたようです。

この現象について、みじんこ~さんは生物学的な意思よりも物理的な要因が大きいと考えています。

「リーダーが存在しないにもかかわらず、数万匹のミジンコが統制された渦を巻く現象は、なにか生物学的にメリットがあるというよりは、物理的に自然とそうなってしまう、みたいな『自己組織化』という現象の典型例らしいです」

個体密度に偏りが生じると高密度の場所で衝突や回避運動が増え、その中で多数派の方向が偶然生まれると、回避運動から通常の遊泳に戻る力がちょうどよいあんばいのとき、偏りが増幅されて集団が回転運動(渦)に発展する。向きがそろって正面衝突が減った結果、渦が安定化する--論文の知見も踏まえた見解だといいます。

ミジンコには光に向かって泳ぐ性質があります。水槽内に光の柱ができると個体が集中し、密度が高まるにつれて互いの衝突を避ける動きが強まります。

「全員が中心(光)に向かおうとしつつ、ぶつからないように少しずつ向きを変えた結果、ある瞬間に全員が同じ方向へ円を描くという巨大な秩序(渦)が生まれます」と仕組みを解説します。

もっとも、この渦が完全に無意味というわけではない可能性も指摘します。小さな個体が集団になることで捕食されにくくなる効果や、水流によって餌や細菌を巻き上げる"ポンプ"のような役割が考えられるといいます。「餌を集めるようにミジンコ同士がコミュニケーションをとったりしてわざと起こしている行動ではなさそうです」とも述べています。

また、この現象が起きるほどの高密度環境は、ミジンコにとってストレス状態を示すサインでもあるといいます。

「ミジンコトルネードは環境ストレスがかかっていることを意味します。ミジンコの腸内細菌は環境により種類が大きく変動することが知られているので、このようなストレス下で特殊な腸内細菌が出てくることも十分考えられます」と分析。

渦によって底部の細菌が巻き上げられ、腸内に取り込まれる可能性にも言及。光への走性そのものに腸内細菌が関与している可能性も研究で示唆されているといいます。

「腸内細菌を全く持たない無菌のミジンコが同じように渦を巻くのか、とても気になりますよね」と、今後の研究への関心を示しました。

みじんこ~さんは現在、環境汚染や人体への有害性が懸念されるマイクロプラスチックを、ミジンコの腸内細菌を利用して分解するというプロジェクトに取り組んでいます。その研究を支えているのが、ミジンコ屋「きずなミジンコ」さんの存在です。

「きずなミジンコさんは、コンテストで記事になったのを見て支援したいと声をかけてくださったんです。今わたしがラボで使っているミジンコは定期的にきずなミジンコさんが無償で譲ってくれているもので、受け取るときによくミジンコの話をするんです。その時に、『こんな現象が起こるんですがなんでですか』と質問されたのがきっかけでした」と舞台裏も明かしてくれました。

 今回の投稿が大きな注目を集めたことについては、「まずは、私はミジンコという生き物が大好きなのでたくさんの人にミジンコが面白いことを知ってもらえて嬉しい限りです。私はもっとたくさんの人にミジンコのかわいらしさと面白さを知ってもらいたいです」と喜にみじんこ~さん。さらに「ミジンコトルネードが、まるで銀河みたいというコメントをたくさんいただきました。ミジンコは体は小さいですが、私たちにたくさんの興味深いことを教えてくれる、無限大の可能性を秘めた生き物です!」と熱く語りました。

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