炎天下に産み落とされた赤ちゃんザル ぬいぐるみを抱いてすくすく成長 群れになじみにぬいぐるみ“卒業”へ
育児放棄を受けて人工哺育で育ったニホンザルの赤ちゃん「パンチくん」が、オランウータンのぬいぐるみを抱えて過ごす姿がSNSで話題を集めました。投稿したのは千葉県の市川市動植物園の公式X(@ichikawa_zoo)。ぬいぐるみにしがみつく姿に、「がんばれパンチ」と成長を見守る声が広がりました。
パンチくんは2025年7月26日、サル山で生まれたオスです。市川市動植物園でニホンザルを担当する宮腰さんによると、生後まもなく展示場内で放置されている状態で見つかり、その後は人工哺育で育てられてきました。
「名前の由来は、ルパン三世の作者『モンキー・パンチ』さんからとりました。天真爛漫でメンタルがとても強いサルです」
ニホンザルは群れで暮らす動物のため、人工哺育で育った個体を群れに戻すのは容易ではありません。そこで園では、将来的な群れ復帰を見据え、生後3カ月ごろからほかのサルと柵越しに自由に触れ合える環境で過ごさせたり、生後4カ月を過ぎたころからは担当者とともにサル山に入ったりと、段階的に準備を進めてきたといいます。
「群れに戻すことを最終目標としていたので、パンチと人との距離感にはかなり悩みました」
パンチくんが抱えていたオランウータンのぬいぐるみは、人工哺育の過程で用意されたものです。子ザルは生まれた直後から母ザルの毛にしがみつく習性があり、つかまることで筋力を育て、抱きつくことで安心感を得るのだそうです。
「以前にも人工哺育で育てた個体がいたんですが、その個体もぬいぐるみを抱かせて、群れ入れに成功したので、今回もぬいぐるみを選択肢にいれました。筒状にしたタオルや、他のぬいぐるみも試しましたが、パンチ自身が上手につかめたのが今回のぬいぐるみでした。毛足が長かったので、それが良かったのだと思います。小さい頃から一緒にいたので、パンチにとっては母替わりであり、安心材料だと思います」
その後、2026年1月19日からは群れでの生活が始まりました。最初の対面時、サル山の仲間たちは警戒したものの、威嚇は見られず、距離を取って様子を見ていたといいます。また、ほかのサルたちはぬいぐるみにも興味を全く示さなかったそう。2月下旬ごろには、群れの中を活発に動き回る時間が増えているといいます。
「最近はぬいぐるみを展示場のどこかに放置して、一人で自由に動き回っている時間が多いです。一人で遊んだり、ほかのサルに毛づくろいしてもらったり、遊んでもらったり…と様々。ぬいぐるみを抱えに行くのは、ほかのサルから怒られていじけたときや、眠るときがほとんどになりました」
今後については、宮腰さんは次のように見通しを語っています。
「成長とともに親離れもはじまり、群れともなじんでいくと思います。そうなっていけば、ぬいぐるみも卒業すると思います」
パンチくん目当てでの来園者が増えているそうですが、宮腰さんは「基本的には一日中、外に出て遊んでいることが多いです。展示場の中をかなり動き回っているので、待っていただければ、どこでも見られると思います」と観察のポイントを話します。
「観覧場所は限られているので、譲り合って観ていただければと思います。またパンチはもちろん、サル山にはほかにたくさんのサルたちが生活していますので、静かにご観覧いただけると幸いです」
◇ ◇
市川市動植物園や市川市の公式発信によると、パンチくんはその後も群れの中で生活を続けています。3月に入ってからは、同じ年代の子ザルと遊ぶ姿が見られるなど、少しずつ群れになじんでいることがうかがえます。エサの時間に自分から採食する様子も確認できるといい、園は「群れに着実になじんできています」としています。
一方、SNS上ではパンチくんに関する一部動画が「いじめではないか」と受け止められたこともあり、園は3月10日に説明を公表。3月14日には、これまでの声明文をまとめたページも公開し、健康状態や飼育環境、人工哺育から群れ入りまでの経緯などをあらためて説明しています。
さらに市川市は3月16日、「#がんばれパンチ 市川市動植物園への寄附についてのご案内」を公開しました。寄附金は、パンチをはじめ市川市動植物園の動物の環境改善や施設管理などの運営事業に充てるとしています。
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