2月8日衆院選、中国はどう見ているのか? 対中路線のリトマス紙の側面も

2月8日投開票の衆議院議員選挙は、議席争いを超え、東アジアの地政学的な転換点として隣国・中国からも強い関心を寄せられている。

今回の選挙において中国が注視しているのは、極めてシンプルかつ切実な一点、すなわち「高市早苗政権が国民の信任を得て継続するのか、あるいは退陣に追い込まれるのか」という点に集約される。

■対中路線のリトマス紙

高市首相は就任以来、台湾情勢をめぐる踏み込んだ発言や、防衛力の抜本的強化といった言わば中国にとっては好ましくない姿勢を鮮明にしてきた。これに対し中国側は、外交ルートを通じた抗議のみならず、日本産水産物の輸入停止やレアアースの輸出規制示唆など対抗的な姿勢を顕著に見せている。中国にとって、今回の選挙結果は日本がこの対中路線を正当な外交方針として追認したのかを測るリトマス試験紙となっている。

選挙で与党が勝利し、高市政権が維持されることになれば、中国はこれを「日本国民が現状の対中姿勢にお墨付きを与えた」と受け止めるだろう。その場合、中国側が抱く不満と危機感は一層募り、さらなる関係の冷え込みを助長するだろう。中国の立場からすれば、高市政権の続投は自国の核心的利益に対する「挑発の継続」を意味するため、何らかの形で対抗措置をエスカレートさせる論理的根拠が生じることになる。

もっとも、大国としての地位を確立し、国際社会でのリーダーシップを標榜する中国にとって、冷静さを欠いた強硬策は、諸外国における自国のイメージを悪化させるリスクを伴う。欧米諸国との経済的なデカップリングを避けたい背景もあり、目に見える形での武力衝突や過激な挑発は、現時点では現実的な選択肢とはなりにくい。

■懸念される経済的圧力の強化

懸念されるのは経済的圧力の強化である。中国は軍事力を行使せずとも、巨大な市場とサプライチェーンの支配力を武器に相手国を翻弄する経済的威圧の手法を熟知している。高市政権が国民の信任を得たという事実となれば、中国にとってこの経済的カードを切るための「トリガー(引き金)」となるリスクも孕んでいる。重要鉱物の供給制限、あるいは現地日本企業への監視強化などといった形で、日本の経済的急所を突く戦略がより緻密に、かつ冷徹に実行されるシナリオも否定はできない。

今回の衆院選は、日本の針路を決定する国内政治の場であると同時に、対中関係における対話と協調の余地が残るのか、それとも構造的な対立が固定化されるのかを分ける、外交上の重大な岐路となるかもしれない。

◆和田大樹(わだ・だいじゅ)CEO, Strategic Intelligence Inc. / 代表取締役社長 専門分野は国際安全保障論、国際テロリズム論、経済安全保障、地政学リスクなど。海外研究機関や国内の大学で特任教授や非常勤講師を兼務。また、国内外の企業に対して地政学リスク分野で情報提供を行うインテリジェンス会社の代表を務める。

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