10年前に買った5万円分の暗号資産 アプリを開くと現在価値は500万円! 黙って換金したらバレますか?【税理士が解説】
40代のAさんは、10年ほど前に同僚に勧められ軽い気持ちで5万円分の暗号資産を購入しました。その後、価格が下落したこともあり、すっかり興味を失ってしまいました。アプリで価値を確認することもなく、暗号資産を持っていることすら記憶の彼方に消え去っていました。
月日は流れ、偶然ニュースで暗号資産の情報を目にします。すっかり忘れていたものの、Aさんはニュースをきっかけに昔購入した暗号資産の存在を思い出しました。もう価値はないだろうと期待はしていなかったものの、一応確認してみようとアプリにログインすると、そこに表示されていた資産額は信じがたいことに「500万円」になっていたのです。
予期せぬ幸運にAさんは舞い上がりましたが、喜びも束の間、冷静になると巨大な疑問と不安が頭をもたげました。もしこの500万円を現金化したら、税金は一体どうなるのでしょうか。正木税理士事務所の正木由紀さんに話を聞きました。
■悪質な場合は逮捕されるケースも
ー暗号資産で得た利益は、どのような種類の所得になりますか
暗号資産(仮想通貨)の売却や使用によって生じた利益は、原則として「雑所得」に分類されます。 給与所得など他の所得と合算した上で、所得税の計算が行われます。総合課税の対象となるため、所得が大きいほど税率も高くなる累進課税が適用されます。
ー税金が発生するのは、どのタイミングですか
税金が発生するのは、暗号資産によって得た利益が確定するタイミングです。具体的には、暗号資産を売却して日本円に換金した時が挙げられます。また、保有する暗号資産を使って他の種類の暗号資産を購入した場合も課税対象となり、例えばビットコインでイーサリアムを購入した際に、その時点でのビットコインの価値が購入時よりも上がっていれば、差額が利益とみなされます。
さらに、暗号資産で商品やサービスを購入した場合も同様で、決済時の価値が取得価額を上回っていれば利益が発生したことになります。このように、利益が確定する行動をとった場合に税金がかかるため、Aさんのようにただ資産を保有しているだけの「含み益」の状態では課税されません。
ー利益の計算方法を教えてください。購入時の価格が分からない場合はどうなりますか
利益の計算は、売却価格から購入時の価格(取得価額)と手数料などの必要経費を差し引いて算出します。実際に5万円が500万円になる、つまり100倍になるケースは、近年のビットコインの高騰や他のアルトコインの急激な値動きを見ても、決して非現実的ではありません。
仮に利益が495万円の場合、その全額が給与所得などと合算され、所得税が計算されます。所得が多いほど税率も上がるため、高額な納税になる可能性があります。申告を怠れば、重い追徴課税が課されるため注意が必要です。実際に2020年には暗号資産の取引で得た所得を隠していたとされた会社役員が、所得税違反容疑で告発され有罪判決を受けています。
万が一、購入時の価格が分からない場合は、売却額の5%を取得価額とみなして計算します。ただし、この方法は実際の利益より多く計算され税金が高くなる可能性があるため、取引の記録は必ず保管しておきましょう。
◆正木由紀(まさき・ゆき)
税理士 10年以上の税理士事務所勤務を経て令和5年1月に独立。これまで数多くの法人・個人の税務を担当。現在は、社労士や司法書士ともチームを組み、「クライアントの生活をより充実したものに」をモットーに活動している。私生活では2児の母として子育てに奮闘中。
(まいどなニュース特約・八幡 康二)





