夫婦の営みを拒否する妻「風俗通いは即離婚!」…その矛盾に隠された妻のSOSとは【夫婦関係修復カウンセラーが解説】

結婚5年目を迎える30代のAさんは、かつては恋人同士のように仲睦まじかった夫婦関係を懐かしんでいました。子供が生まれてからというもの、妻は育児や家事に追われ、Aさんに冷たくあたるようになりました。Aさんが勇気を出して夜の誘いをかけても、妻は冷たく背を向けるばかりです。

拒絶されるたびにAさんの心は深く傷つき、男としての自信を失っていきます。ある晩、抑えきれない衝動に駆られ、Aさんは冗談めかして風俗へ行く許可を求めました。しかし、返ってきたのは妻の激しい怒声と「即離婚」という冷酷な言葉でした。

妻からは拒まれ、外での発散も許されない状況のAさんは、自分自身の存在意義さえ見失いそうになっています。この八方塞がりの状況をどう打破すれば良いのでしょうか。夫婦関係修復カウンセリング専門行政書士の木下雅子さんに話を聞きました。

■問題は「性欲の解消法」ではない

ー風俗に行けば即離婚という妻の主張は法的に問題ありませんか

法的な観点から申し上げますと、一般的に離婚原因となる「不貞行為」は、特定のパートナーとの継続的な肉体関係を指すことが多く、風俗店の利用が直ちに法的な不貞行為と認定されるケースは少ないと考えます。

だからといって問題がないわけではありません。たとえ法的な不貞行為にあたらなくても、「風俗嬢との深い関係を伴う、度重なる店外デート」等は夫婦の信頼関係を著しく損なう行為として、「婚姻を継続しがたい重大な事由」と判断され、離婚が認められる可能性は考えられます。

ー妻がセックスを拒否しつつも、夫が風俗に行くことを許せないのはなぜでしょうか

奥様のこの一見矛盾した態度は、決してAさんを追い詰めたいわけではないのです。むしろ、それは「私の苦しみを理解してほしい」という心の叫び、SOSであると捉えるべきでしょう。

多くの場合、妻がセックスを拒否する背景には、夫とのセックス自体が苦痛であったり、夫だけが満足していることへの不満があったりします。あるいは、日々の家事や育児の負担で心身ともに疲れ果てているのかもしれません。

そのような状況で、夫が自分の不満や苦しみに向き合おうとせず、安易に外(風俗)で性欲を解消し、自分だけ満足しようとすることは、奥様からすれば「私の気持ちを完全に無視した裏切り行為」に他なりません。「私をこんなに苦しめておいて、あなただけスッキリするなんて許せない」という怒りは、当然の感情と言えるでしょう。

ーAさんがまず取り組むべきはどのようなことでしょうか

Aさんが今、八方塞がりだと感じているのは、「どうすれば性欲を解消できるか」という方法論で考えてしまっているからかもしれません。まず取り組むべきは、その視点を一度捨て、奥様の言葉の裏にある「本心」に耳を傾けることです。

ただし、当事者同士では感情的になり、冷静な話し合いが難しい場合も少なくありません。そのような時は、私たちのようなカウンセラーなど、第三者の専門家を交えて話し合うことをお勧めします。客観的な視点が入ることで、ご自身では気づかなかった問題の本質が見え、解決への光が差してくるはずです。

◆木下雅子(きのした・まさこ)

行政書士、心理カウンセラー。大阪府高槻市を拠点に「夫婦関係修復カウンセリング」を主業務として活動。「法」と「心」の両面から、顧客を支えている。

(まいどなニュース特約・長澤 芳子)

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