「うちなんて普通よ」…中高一貫校で出会ったママ友は美容外科院長 「8000円ランチ」「年末ドバイ」に庶民ママが感じた“別世界”
中学受験をきっかけに、ママ友との世界が広がったYさん。娘の通う中高一貫校で出会った新たな人間関係のなかには、自分とはまったく異なる生活感をまとう人たちもいました。娘のクラス懇親会で知り合ったセレブ感あふれるママ友との出会いは、Yさんにとって圧倒されつつも、どこか清々しい気持ちにさせられる出来事となったのです。
■「駐車場が1時間数千円するのよね」
埼玉県在住のYさん(40代)は、夫が都内の企業に勤務し、自身は週3日、自宅近くの会社でパート勤務をしている一般的な家庭の母親です。一人娘が都内の中高一貫女子校に入学し、クラスの保護者会で隣の席になったOさんと意気投合。後日ふたりでランチに行くことになりました。場所は銀座周辺。店選びの段階からすでに「庶民とセレブ」の違いが会話の端々に感じられたといいます。
「このホテルのランチは個室もあるし、雰囲気がよくてお料理も美味しいのよ」
そう提案された店のホームページを見ると、ランチは最低でも8000円のコースから。Oさんは「でも駐車場が1時間数千円するのよね」とさらりと付け足しましたが、Yさんの頭には「え?電車じゃないの?」と疑問符が並びました。
物価高の影響もあり、銀座ランチが3000円でも仕方ないと思っている庶民の感覚では、移動は当然電車です。数千円の駐車場代を「ちょっと高いけど仕方ない」と受け入れること自体、まるで異世界に迷い込んだように感じました。
■軽井沢の別荘と、冬休みのドバイ
Oさんとのランチでは、学校やクラスのこと、家族のことなど、会話は楽しく続きました。Yさんが驚いたのは、Oさんの夏休みの過ごし方についてです。
「毎年、年末年始はドバイで、夏休みは軽井沢の別荘にいくんだけど、最近は軽井沢も暑いのよね。洞爺湖にしようかと思ってる」
Yさんが「今年の夏こそ、沖縄くらいは行きたいな」と考えていた横で、軽井沢の別荘から洞爺湖へ避暑。そして聞いてもないのに、年末年始はドバイだそうです。まさに雲の上の存在に思えました。
ドバイでも、Oさんはリッツ・カールトンやブルジュ・アル・アラブといった超高級ホテルに滞在するそうです。軽井沢の別荘から洞爺湖の高級ホテルへという発想も、庶民には思いつかない世界です。
Oさんの車も、一般的な家庭とは次元が違いました。芸能人が愛用するような高級外車のSUVで、しかも「夫の趣味もあってガレージには6台の(Yさんが聞いたことも見たこともない外車の名前)がある」と軽やかに語ります。
庶民が「今年は車検だ」と肩を落とすのとは異なり、車は移動手段というより、ライフスタイルの象徴なのだと痛感したそうです。
■高級住宅地の一軒家と美容外科の女医
話を聞くうちに、生活基盤の違いも明らかになっていきました。Oさんは都内の高級住宅地にある一軒家に住み、自ら開業した美容外科で院長を務める医師だそうです。夫は会社経営者で、現在はシンガポールとの二拠点生活を送っているといいます。
ここでYさんがさらに驚いたのは、Oさんが「うちなんて普通よ」と謙遜することでした。庶民から見れば清々しいほどのセレブ生活も、本人にとってはそれが「当たり前の日常」。価値観のギャップが浮き彫りになります。
不思議なことに、こうした会話が嫌味に聞こえないのがOさんの魅力でした。「うちなんて普通よ」と言いながら、Yさんには非日常的に映る生活を語る姿は、もはや一種のエンターテインメントのようでもあります。聞いている側としては嫉妬というより、「夢の世界を垣間見た」ような気分になれるのです。
■夢を見せてくれる存在としてのセレブママ
私立の中高一貫校では、驚くほど多様な価値観が交錯します。庶民的な家庭とセレブな家庭が同じ教室に集まるため、会話の中で格差を痛感する場面は少なくありません。
教育社会学の調査では、こうした学校に通う家庭の約3割が世帯年収1500万円以上とされています。ただ、それでも十分に「一般家庭」と呼べる範囲であり、本当の意味での“別世界”に住む家庭は、そのさらに上の層にいるようです。そうした家庭では、「別荘」「ドバイ」「高級外車」といった言葉が、ごく自然に会話の中に登場します。
Yさんにとって、Oさんとの会話は、庶民の生活とは一線を画す世界を見せてくれるものでした。しかし、あまりに自分とは縁遠い話だったため、聞いていて面白かったといいます。雑誌やドラマのワンシーンを間近で見ているようで、現実離れした夢物語をお裾分けしてくれる存在として、むしろ楽しく付き合えるのです。
セレブなママ友の話を聞きながら、Yさんは「我が家は沖縄旅行をいかに安く行けるか」をネットで調べる時間を楽しんでいました。格差を感じつつも、同じ学校に子どもを通わせているという一点でつながっている──庶民とセレブが同じ教室に集うこと、それ自体がママ友社会の醍醐味なのかもしれません。
(まいどなニュース特約・松波 穂乃圭)
関連ニュース
-
「成績悪い子だけらしいけど大丈夫?」…部活・補習・買い食いまで“逐一報告”されるLINE地獄 ありがた迷惑な“息子監視ママ”

-
「うちの男子はみんなこの学校」「この学校のことなら私に聞いて」入学早々、先生を差し置いて教壇に立つ“ベテラン保護者”に衝撃 LINE強制にざわつく声も

-
中受の定番フレーズ「受かったけど行かない」 精いっぱいの嘘に込められた12歳の心の傷と切実な思い

-
「LINEグループの通知が止まった日」卒業で終わった中高一貫校・6年間のママ友付き合い 交わされなかった大学合否の話

-
「あの人、優秀な子のママとしか付き合わないんですよね」…息子の進学先を伝えた直後、途絶えたランチ会への誘い “中高一貫校”保護者間に成績の壁

