ウミネコの足ってこんなに器用だったの!? 「水かき」がまさかの状態…撮影者「決定的瞬間撮れた」
青空を舞うウミネコの、まさかの「足元」に注目が集まっています。水かきを器用に折りたたみ、コンパクトな足で空を飛ぶ姿を捉えた一枚の写真が、X(旧Twitter)で「知らなかった」「面白い!」と大きな話題を呼んでいます。この貴重な瞬間を撮影した野鳥写真家の宮本 桂(@KE_mi)さんに、撮影時の状況や野鳥撮影の奥深い魅力について詳しく聞きました。
話題の写真を撮影された時の状況について、宮本さんはこう語ります。
「ウミネコが休憩のために集まってくる場所で撮影していました。機材は一眼レフカメラと望遠レンズです」
今回特に注目されたのは、空を飛ぶウミネコの足元を捉えた写真です。普段、水面を泳いだり、陸上を歩いたりする姿をよく見るウミネコですが、飛んでいる最中の足がこんなにも特徴的だったとは驚きです。水かきはきれいに折りたたまれ、まるで指のようにコンパクトに収まっています。
この光景を見て、宮本さんはどのように感じたのでしょうか。
「水かきが折りたたまれていることは過去に撮影したもので知っていましたが、今回は特に面白い角度が撮れたと思いました」
長年、野鳥を観察してきた宮本さんにとっても、その特徴的な足元が際立つ会心の切り取り方だったようです。水中での推進力を生み出す水かきが、飛行時には効率よく収納されるという、自然の合理性と神秘を感じさせる一枚です。
■群れだからこそ面白い、ウミネコの撮影
宮本さんは、ウミネコの撮影には特有の面白さと難しさがあると話します。
「群れでいることが多いので、複数のウミネコとのやりとりを見ていると面白い瞬間に出会えます。他のウミネコの上に降りようとして怒られたり、エサや棒切れを持ったウミネコの追いかけ行動など、動きのある場面を撮るのが好きですが、綺麗にフレームに収めることが難しいので、撮影数を重ねるようにしています」
一羽だけでは見られない、社会性のある鳥ならではのドラマチックな瞬間。それを追いかけることに、宮本さんは魅力を感じているのです。
■自宅のツバメの巣が原点に
そもそも、宮本さんが野鳥の撮影を始めたきっかけは何だったのでしょうか。
「自宅にツバメの巣ができたことがきっかけです。バイオミメティクス(生物の構造や機能を模倣し、新しい技術開発に活かす考え方)にも興味があったので、いろいろな動きに注目して撮影しています」 (宮本さん)
身近なツバメの子育てから始まった興味が、やがて野鳥全体の多様な動きや生態の面白さを追求する活動へと繋がっていきました。
今回、空を飛ぶウミネコの「水かき」という意外な部分に光が当たりましたが、普段から特定の瞬間を狙っているわけではないと言います。
「撮影時は『撮れそうならとりあえず撮ってみる』という姿勢で、何が写っているかは後のお楽しみです。風景などを気にする余裕があれば構図を考えることもありますが、強い目的意識で撮っていることは多くありません」 (宮本さん)
計算され尽くした一枚というより、偶然の出会いと発見を大切にする。そんな柔軟なスタイルが、誰もが見過ごしてしまうような面白い瞬間を捉える秘訣なのかもしれません。
■野鳥への敬意を忘れない
撮影において、宮本さんが最も大切にしているのは、野鳥にストレスを与えないことだと言います。
「同種でも地域や季節によって警戒する距離や動作が異なるので、種ごとの警戒の鳴き声や仕草にはつねに注意しています」 (宮本さん)
対象への深い理解と敬意があってこそ、自然な姿を記録することができるのです。
最後に、今後の目標について伺いました。
「これまでさまざまな行動を多角的にみた鳥のポーズ集などを自主作成しているので、それの拡充を続けます。また、研究者や出版編集者から『珍しい』『初めて見た』と言われることもたびたびあるので、そういう分野の新しい刺激になる瞬間の写真を継続して発表できればと思っています」 (宮本さん)
宮本さんの探求心とカメラが、これからも私たちに野鳥の新たな魅力を教えてくれることでしょう。




