【転勤制度と離職リスク】転勤を命ず…20~30代の6割超が「退職を検討」
みなさんは、転勤の辞令が出た場合どう対処しますか。エン・ジャパン株式会社(東京都新宿区)が、同社運営の総合求人サイト『エン転職』にて実施した「転勤」に関する調査によると、転勤経験者の約4割が「転勤をきっかけに退職を考えたことがある」と回答したことがわかりました。では、退職を検討する理由にはどのようなことがあるのでしょうか。
調査は、同サイトユーザーの男女2303人を対象として、2025年6月にインターネットで実施されました。
その結果、全体の20%が「これまでに転勤をしたことがある」と回答し、性年代別に見ると若い年代ほど転勤経験が少なく、20代(5%)と40代以上(25%)とで20ポイントの差が見られたほか、男性は32%が転勤経験があるのに対し、女性は7%にとどまり、男女別でも差が見られました。
続けて、転勤をしたことがある人に「転勤の際は単身赴任と家族揃って転居のどちらでしたか」と尋ねたところ、69%が「単身赴任」と回答。
また、「転職をきっかけに退職を考えたことはありますか」という質問には、44%が「ある」(実際に退職した12%、ある32%)と回答しました。年代別では20代69%、30代61%、40代以上の40%が「考えたことがある」と回答しており、年代が低いほど転勤への抵抗感が大きいことがわかりました。
「実際に退職した」と回答した人からは、「転勤先での待遇が事前の説明と違い、不利益を被った」「転勤を断ったら待遇が悪くなった」といった声が寄せられたほか、「退職を考えたことがある」と回答した人からは、「家族への負担が大きくなってしまい、転職を検討した」「転勤したことで業務量が増大し、給与に見合っていると思えない状態になった」などの声も聞かれました。
さらに、全年代の半数以上が「今後、転勤の辞令が出た場合、退職を検討するきっかけになる」(20代66%、30代67%、40代以上54%)と回答し、男性(52%)よりも女性(65%)のほうが抵抗感が大きい結果になりました。
「退職を検討するきっかけになる」と答えた人からは、「地元もしくは住みたい地域でなければ、転勤してまで仕事を続けたいとは思わない」「子供の転校・転園はさせたくない、また、家族との時間を大切にしたいので単身赴任も考えられない」といった意見が聞かれた一方で、「退職を検討するきっかけにはならない」と答えた人からは、「環境の変化がキャリアに良い影響を与えるきっかけにもなると思う」という意見も聞かれました。
最後に「転勤を経験して良かったこと」を聞いたところ、「知らない土地・環境を知る機会になった」(56%)や「仕事の人的ネットワークが広がった」(42%)、「業務範囲が広がった」(39%)などが上位に挙がりました。
一方、「良くなかったこと」についても聞いたところ、「特にない」(28%)が最多となったものの、「退職のきっかけになった(退職した)」は世代間での乖離が最も大きく、20代で44%、30代で37%、40代以上で20%と、若い年代ほど転勤への抵抗が大きいことがうかがえます。
また、男性の最多回答が「特にない」(28%)に対し、女性の最多回答は「新たな人間関係作りに手間取った」(38%)と男女別の違いも見られました。





