忍び込んだ屋敷は吸血鬼の館…親に捨てられた少年の成長、ラストが切なくも温かい【漫画】
様々な人と巡り合う中で、人生のターニングポイントになった出会いもあることでしょう。漫画家の光莉さんが手がけた、新世代サンデー賞の23年1月期佳作『ルーカスと吸血鬼』は、両親に捨てられた主人公と吸血鬼による出会いを描いた一作です。以前「サンデー読切【新人さん応援】」の公式X(旧Twitter)にポストされると、3000以上の「いいね」が寄せられています。
■吸血鬼に命じられたのは「人物画のモデルになること」
真夜中、森の中に佇む大きな館に「ケガをしてしまって…」「少し休ませてもらえませんか?」と訪問する少年・ルーカス。主のアルバートは館に招き入れ、さらに泊まることも認めます。お金のないルーカスはお礼に掃除をさせてほしいと申し出るも、アルバートは「必要ない」「好きにしろ」と返すのでした。
しかし、ルーカスの本当の目的は金目の物を盗むこと。アルバートがいなくなった後、部屋の中を物色していると「掃除を願い出たのはこの為か?」とアルバートが現れ、さらに、しらばっくれるルーカスに「傷口にしまうのか」とやり口を指摘。
包帯の下に宝石を隠していたルーカスは、逆上して刃物を突き立てようとするも、アルバートは大量のコウモリに分散し、あっという間に人の姿に。そして、ルーカスに「私の絵のモデルになりたまえ」と伝えるのでした。
アルバートによれば、自身は絵を描くことが趣味の吸血鬼で、久しぶりに人物画を描きたくなったとのこと。ちなみに吸血鬼は鏡に映らないため、自画像は描けません。
アルバートはルーカスに「君には絵が完成するまでここに住み--モデルをして欲しい」「報酬は渡そう」と条件を述べます。すかさず多額な金、あるいは盗もうとした宝石をくれと願うも、アルバートは「(金額を)具体的に言ってくれ」「君にアレの価値は分かるのか?」と冷静に返答。一般的な教養が備わっていないルーカスは「俺に分かるわけねーだろ!!」と怒鳴りますが、アルバートは遮るように「君に本当に必要なものは何だ?」と追求します。「独りでも生きていける力が欲しい」と応えると、アルバートは契約成立を認めるのでした。
アルバートは書庫にある本の読書を許可し、さらに「家事や身の回りのことは自分でする」「必要なものは山の麓にある街で調達する」「アルバートが起きている夜間に一晩中モデルをする」と命じます。そして、ルーカスの新たな生活が始まりますが、さっそくハードなスケジュールに心が折れそうに。それでも過去に侮辱された記憶、アルバートの「出来るだろう?」という言葉を思い出し、逃げることを諦めるのでした。
また、字が読めないルーカスは、絵が描いてある本なら理解できることに気づき、その後は知識を得ることに楽しさを覚えます。そして、5年の月日が経ち、アルバートの絵は、ルーカスの身体的な成長によって描き直しがあったため、いまだに完成していませんでした。
そんな中、アルバートはルーカスに「ここから出たいか?」と尋ねると、「旅がしたい」と返します。すると、絵について「もう完成している」と打ち明けるアルバート。少しの間が空いた後、ルーカスはアルバートに「どうして…俺と契約してくれたんだ?」「今なら分かるよ アレは俺の為だって」と質問します。
しかし、「私の為だ」と前置きし、生きている実感がなくなっている中、必死に生きようとするルーカスを見た時、数百年ぶりに「生きる」ことに興味が湧いたと語るアルバート。最後に「契約終了(さよなら)だ」と締めくくるのでした。
さらに月日が流れ、ある日、アルバートは自身が描いた人物画を眺めていました。これまでに何人もの人物画を描いてきましたが、アルバートに会いにきた者は誰一人いませんでした。
すると、ドアをノックする訪問者が現れて扉を開けると、そこにはルーカスに似た少年の姿が。彼によれば、自身はルーカスの孫で、残念なことにルーカスは永眠してしまったとのこと。さらに、孫はルーカスが残した自伝を読み、その際にアルバートの存在を知って館にやってきたのでした。
そして、アルバートが描いたルーカスの人物画を見て「貴方の中に居る祖父にも会えた」「共に生きてくれてありがとう」と感謝の意を表します。
しかし、孫は落ち着きのない自分に比べてルーカスが知的に見えて「祖父と似ていない」と述べるも、「いや そっくりだよ」と伝えるアルバート。さらに孫は「もし良ければ泊まっても…」とお願いすると、アルバートは「いいか 何も盗むなよ」と返すのでした。
読者からは「心に染みわたる話」「切なくも温かい読後感だった」などの反響が。そこで作者の光莉さんに、同作について話を聞きました。
■佳作の受賞は自信を取り戻すきっかけになった
-同作を描いたきっかけを教えてください。
今の担当編集さんについていただいて、初めて作ったお話です。いろいろなストーリーを考えましたが、最終的にアルバート(吸血鬼)のキャラクターデザインが決まってからは比較的順調に進んだ覚えがあります。
-同作の中で特にお気に入りの場面を。
ルーカス(主人公)の孫が来るシーンです。最初は旅を終えたルーカスが帰ってくる。というストーリーを考えていたのですが、いざ描いていくと、アルバートの元に来たのはルーカスの孫だったので、自分でも驚きました。
-同作は新世代サンデー賞の23年1月期佳作として受賞されましたが、その結果を知った際の心境を。
その頃は自信を完全に失っていた時期だったので、達成感はありましたが、良ければ努力賞で悪ければ落選だと思っていました。なので、結果を聞いてとてもうれしかったです。公開されてからは色々な感想をいただけて、自信を取り戻すきっかけになりました。
-読者にメッセージをお願いいたします。
最近はあまり作品を載せられていないのですが、連載を目標に企画作りをしています!楽しみに待っていてほしいです!
(海川 まこと/漫画収集家)
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