イノシシから農作物を守り続けたビーグルのシニア犬 引退後は家庭犬として愛されてほしい 保護チームの取り組みが始まった矢先の大事件!
近年、食べ物に飢えたイノシシが山から陸に降りてきて畑を荒らすといった報道が後をたちません。こういったイノシシからの被害を事前に防ぐため、山岳部、あるいは近隣の陸地では「イノシシ避け」としてワンコを飼う事例が一時期から増えました。
しかし、イノシシにとって山岳部での食べられるものが減少していることで、今度は「イノシシ避け」のはずのワンコを襲う事件が起きるようにもなりました。
九州エリアのとある山岳部で、やはり「イノシシ避け」として数年飼われていたビーグルのシニア犬がいました。イノシシに対しては相応の効果があった一方、万一イノシシに攻撃を受けることがあれば、シニア犬であるため、逃げることはまず無理。猪突猛進そのものでワンコを襲えばまず生きて帰ってこれないようにも思います。
このビーグルのシニア犬の存在を知った福岡県のボランティアチーム、わんにゃんレスキューはぴねすでは保護し、「イノシシ避け」としてではない幸せな犬生に導くことにしました。
しかし、このビーグルのシニア犬の保護は一筋縄にいかず、そして保護後もスッタモンダの大騒ぎでした。
■人が近づけば物陰に引っ込む静かな頑固ぶり
ビーグルのシニア犬がいる現場に着き、保護しようとしても物陰に引っ込み出てきません。飼い主の手を借り、なんとか物陰から出してもらいましたが、今度は首輪やリードに慣れておらず、歩きません。
歩かないのでなんとか抱っこして団体の車のクレートに入れましたが、今度は移動中に緊張のあまり吐いてしまうほどでした。
■人の目を盗んで民家から逸走
ビーグルのシニア犬はいったん団体提携の預かりボランティアさんの家でお世話を受けることになりました。
ビーグルのシニア犬は攻撃的な態度こそしないものの、ここでも頑として動こうとしません。トイレすらしないほどなので、リラックスさせようと庭に出したところ、今度はテラス下で固まり動きません。
「人間が近くにいるとダメなのかもしれない」と、預かりボランティアさんは遠目にビーグルのシニア犬を見守りつつ、ほんの少し離れたところで、庭の周囲を囲む柵を乗り越え、ビーグルのシニア犬が逸走。そのまま姿を消してしまいました。
■数日にわたる大捜索が始まった!
大変なことになりました。
元飼い主からは「穏やかな性格だ」と聞いていたビーグルのシニア犬ですが、ここまで頑固で、初めての環境や場面がとにかくイヤなワンコだったとは……。
当然、団体メンバーあげてのビーグルのシニア犬の大捜索が始まりました。もちろん、警察や保健所に連絡しほうぼうに協力を呼びかけ、チラシを配ったり、聞き込みも。
稀に街中でビーグルのシニア犬を目撃しても、すぐにまた逃げていきます。ずっと静かな山岳部で過ごしていた影響からか、人間の気配があったり、街の喧騒の中でパニックになってしまったのでしょう。
ビーグルのシニア犬の捜索は数日にわたりましたが、ついに地域住民の方からの情報提供によって無事に保護。
ビーグルのシニア犬はここでもまた頑固な態度をとっていましたが、それでもけがも事故もなく助けることができたことは本当に良かったです。
■ゆっくり時間をかけてのお世話を
以降、預かりボランティアさんはビーグルのシニア犬の逸走防止を念入りに行うとともに、その頑なな心を少しずつ解くべく、慌てずにゆっくり時間をかけてお世話し続けることにしました。
そこまでの時間は想像を絶するほど大変なものでしょうが、ビーグルのシニア犬が心を開いた日は、同時にその第二の犬生への幕が開く瞬間でもあります。いつかビーグルのシニア犬が、人間の前で笑顔を浮かべてくれることを願うばかりです。
(まいどなニュース特約・松田 義人)





