賀来千香子、賀来賢人 慶事到来を指す名字のルーツは大分県にあり 豊前国の有力氏族の流れくむ?
映画、テレビ、CMに引っ張りだこの人気俳優・賀来賢人。
名字は「賀来」と書いて「かく」と読む。「来」は「来る」の「く」なので漢字の読みそのままだが、「賀」は「が」と濁らず清音で「か」と読む。
それほど特殊な読み方をしているわけではないのだが、初見だと「がく」と読んでしまいそうで、正しく「かく」と読むのは難しいだろう。ただ、叔母にあたる女優賀来千香子も有名なため、世代を超えて「かく」と読める人は多そうだ。
この「賀来」という名字は地名由来で、ルーツの地は大分県にある。
大分市西部にJR久大本線の賀来駅があり、近くには賀来川も流れている。このあたり一帯が「大分市賀来」という地名だ。
「賀来」は、平安時代末期にはすでに見える古い地名である。
もっと古い時代には「阿南(あなみ)郷黒田里」と呼ばれていた。やがてこの地が「かく」ともいわれるようになり、次第に地名が「賀来」に変わったらしい。
「賀」とは「喜び祝うこと」なので、おそらくこの地に何かめでたいことがあって、「賀が来る→賀来」とも言われ、地名化したものだろう。
賀来地区の北側にあたる大分市上八幡に、柞原(ゆすはら)八幡宮がある。平安時代初期の天長4年(827年)に延暦寺の僧が一千日参籠した際、大菩薩の初衣が宇佐神宮から大楠に飛んできたのを見て、木のもとに大菩薩を祀ったことが始まりだと伝えられ、旧豊前国の一宮でもある。
柞原八幡宮には賀来神社という摂社(本社と縁故の深い神を祀った神社)があり、この賀来神社があるのが大分市賀来である。
そして、この地に住んだ一族が地名から賀来氏を名乗り、大友氏に仕えて有力氏族となっていった。
大分県から福岡県東部にかけての旧豊前国地域では現在も「賀来」という名字は多く、「賀来」と書いて「かく」と読むのは常識ともいえる。
しかし、やや難読であることには違いがなく、一族には漢字をより読みやすい「加来」に変えた人も多い。これだと「がく」と誤読されることはないからで、かなり古い時代から「加来」という表記もみられる。
◆森岡 浩 姓氏研究家。1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部卒。学生時代から独学で名字を研究、文献だけにとらわれず、地名学、民俗学などを幅広く取り入れながら研究を続ける。2017年から5年間NHK「日本人のおなまえっ!」のコメンテーターを務めた。著書は「47都道府県名字百科」「全国名字大事典」「日本名門名家大事典」など多数。
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