保護した元繁殖犬が突然吐血 主治医の病院は休診日 すがる思いで頼った別の獣医師が発した勇気の言葉

保護犬には大きく分けて元野犬と元飼い犬に分けられます。

さらに元飼い犬は、家庭で飼われていたものの飼い主によって棄てられたり、飼育放棄として保健所や保護団体に持ち込まれるワンコと、繁殖業者によって棄てられるワンコに大別できます。

もちろん、どちらが不幸ということは言えません。しかし、繁殖業者の元で望まむ出産を繰り返された後、「役に立たなくなった」として棄てられたり、ずっとケージの中に入れられ、世話をしてもらえなくなったワンコが悲惨であることは間違いありません。

2023年に福岡県の保護ボラアンティアチーム、わんにゃんレスキューはぴねす(以下、はぴねす)。とある繁殖場から引き出したふわちゃんというワンコも元繁殖犬でした。その経緯を2024年2月14日に「金もうけのために酷使されたシェットランド・シープドッグの繁殖犬 保護されても瞳は悲しげだった」という記事で伝えました。(

はぴねすではふわちゃんの世話をしながら、幸せへと導いてくれる里親さんとのマッチングを目指していました。

■ふわちゃんの体に綺麗な毛が生えてきた

保護当初のふわちゃんは皮膚病がひどく、さまざまな持病がありましたが、獣医師の医療ケア、はぴねすの預かりメンバーの献身的な世話によって、ふわちゃんの体には少しずつきれいな毛が生え、乳腺腫瘍の摘出、歯科処置、避妊手術を無事に終えることができました。ふわちゃんの表情は「お世話してくれてありがとうね」と語っているようでした。

代表は里親さんとのマッチングによりいっそう力を入れようと思った矢先、預かりメンバーから連絡が入りました。

■ふわちゃんが再度体調不良に

「昨日のふわちゃんは、朝ごはんを食べた一方、夜は食べず、その後、突然の嘔吐が始まり、さらには吐血・下血もしている。意識も朦朧としている様子だ」と言います。

いつもふわちゃんを診てもらっていた動物病院は診療時間外で翌日も休診。不安を抱えながら別の動物病院に連れていくと、その獣医師が思わぬことを言いました。

「元繁殖場にいた子ですよね。この子がかかっていた動物病院から『はぴねすさんが来たら、協力してください』と言われています」

いつもふわちゃんを診てくれていた動物病院の獣医師は、「何か起きたら」と別の動物病院にも情報を共有してくれていたのです。獣医師の配慮に感謝するとともに、「ふわちゃんを助けたい」という思いを、複数の獣医師らとも通じ合えていることに代表は胸が熱くなりました。

その動物病院では他のワンコよりも優先してふわちゃんを診てくれることになりました。他の飼い主さんたちにとっては待ち時間が長くなるはずなのに、不満を言う方はなく「元気になってね」と温かい言葉をかけてもらい、代表はここでもまた涙があふれそうになりました。

■「待ってくれている里親希望者さんは絶対にいるからね」

診察によると、ふわちゃんは何らかの原因で肝機能と腎機能の数値が上がり、吐血・下血に至っている。さらにショック状態でもあるとのこと。入院することとなり、体調不良の原因を探りながら治療を進めていくことになりました。

繁殖場にいたふわちゃんを「助けてたい」と思った気持ちが別の心ある人たちにも繋がり、皆で小さな命を守ろうとしてくれていることを代表は心からありがたく思いました。

そして、これだけの人たちの愛があればふわちゃんはきっと健康を取り戻してくれ、いつか必ず幸せを掴んでくれる。この日、動物病院でのふわちゃんと別れ際、代表は話しかけました。

「大丈夫。ふわちゃんのことを待ってくれている里親希望者さんは絶対にいるからね。今は大変だと思うけど、なんとかがんばって、元気になって一緒に帰ろうね」 

わんにゃんレスキューはぴねす

https://ameblo.jp/happines-rescue/

(まいどなニュース特約・松田 義人)

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