コロナ禍を経て…半数以上の会社が「精神疾患を抱える若者の採用要件」を緩和 中途採用担当者に調査

レバレジーズ株式会社(東京都渋谷区)が運営する障がい者就労支援サービス『ワークリア』は、今までの採用活動において応募があった経験のある中途採用活動を行っている企業の中途採用担当者330人を対象とした「精神疾患を抱える若者の採用意欲」に関する調査を実施しました。その結果、採用活動において、約8割の企業で「コロナ禍を経て、精神疾患を抱える若者からの応募が増加したと感じる」と回答しました。また、「精神疾患を抱える若者の採用要件を緩和」した企業は半数以上であることが分かったそうです。

調査は2023年11月にインターネットで実施されました。なお、採用対象者の年齢は18~34歳。また、精神疾患の定義を「気分の落ち込みや幻覚・妄想など心身にさまざまな影響が出る疾患(※軽度な症状も含む)」としています。

調査によると、中途採用活動を行っている企業の半数が「精神疾患を抱える若者から応募があった経験がある」(50.0%)と回答しました。その中で、「コロナ禍を経て、精神疾患を抱える若者からの応募割合が増加したと感じる」(非常に増えたと感じる21.2%・やや増えたと感じる54.5%)と回答した会社は約8割(75.7%)に上っています。

また、選考段階において、現病歴や既往歴の有無の確認については、「面接時もしくは面接前にアンケートで確認する」(46.7%)、「面接時に口頭で確認する」(44.8%)など約9割の企業で、書類選考から内定受諾までのタイミングで確認していることが分かりました。

さらに、約9割の会社が「精神疾患は採用結果に影響する可能性がある」(86.7%)と回答。そこで、「採用結果に影響するもの」を複数回答で答えてもらったところ、「症状の度合い」(57.9%)が最多となり、「通院状況」(38.2%)や「診断名」(32.4%)よりも多いことから、診断名で採用の可否を決めつけるのではなく個人個人の症状の度合いを確認し、採用できるかを判断している会社が一定数存在することが見受けられました。

次に、「コロナ以降(2020年1月以降)精神疾患を抱える若者の採用要件に変化はありましたか」と聞いたところ、「見直しがかかり、精神疾患に対しての取り扱いを緩和した」(21.2%)、「特に見直しなどはなかったが、以前と比べて精神疾患に対しての取り扱いは緩和されている」(31.6%)など、半数以上の会社がコロナ禍を経て採用要件を緩和していることが分かりました。

また、「採用要件を緩和した理由」については、「早急な人員確保を行う必要があったから」(46.6%)、「若年層であることを優先した採用をしたかったから」(17.8%)などが上位となり、採用活動において、世の中の情勢や若者の実態を鑑みて、柔軟に対応している会社は少なくないことがうかがえました。

なお、「精神疾患を抱える若者の採用要件を緩和した」と答えた174人のうち、約6割が「今後も緩和する予定がある」(62.1%)と回答しており、柔軟に対応した結果採用がうまくいったなど、過半数の会社は「採用要件を緩和することが採用計画においてプラスに働いた」と感じていることがうかがえる結果となりました。

   ◇  ◇

調査を実施した同サービスは、「OECD(経済協力開発機構)の調査によると、日本国内のうつ病・うつ状態の人の割合は、2013年調査では7.9%だったのに対し新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた2020年には17.3%と約2倍に増加したと言われています」と説明。

その上で、「若者と直接接触している採用担当者の約8割が精神疾患を抱える若者の増加を実感していることから、実態として精神疾患を抱える若者はコロナ禍を経て増加傾向にあることが予想されます」と分析。さらに、「採用活動において、精神疾患の診断名よりも『症状の度合い』を重視している会社が多いことや半数以上がコロナ禍を経て採用要件を緩和していることから、症状の度合いには採用可否を左右するほど個人差があることを採用担当者は実感しているようです」とコメントしています。

また、国民の4人に1人が後期高齢者という超高齢社会を迎え、深刻な人材不足に陥る「2025年問題」が目前に迫っていることから、「若年層の人手を確保する必要がある業界や会社は、現在の若年層の実態を把握し採用活動において柔軟に対応することがより一層求められるでしょう」とも述べています。

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