人間の勝手な都合で振り回される保護猫よ、どうか幸せに 今も人を信じる甘えっ子

■ボランティアからも声のかからない猫エイズキャリアの猫

フーバーちゃん(4歳・オス)は、保健所に収容されていたのだが、猫エイズキャリアの大人猫だったので、なかなか里親希望者が現れず、ボランティアからの引き出しもない状態だった。

香川県で「まだら家」という名で、TNR活動や保護猫の譲渡をしている鈴木さんは当時、保健所・愛護センターからの引き出しボランティアとして登録していた。2019年1月、保健所に譲渡対象猫の引き出しに訪れた時にフーバーちゃんと偶然出会ったという。

「子猫でもなく、猫エイズキャリアの猫は殺処分の対象となる可能性が高いので引き出しました。初めて会った私にもフレンドリーで、ケージから出たいと一生懸命訴えていたのが印象的でした」

■譲渡した相手が保健所に持ち込み

フーバーちゃんを家に連れて帰ると、怖がる事もなくベタベタ甘え、激しく抱っこをせがむ甘えん坊ぶりを発揮した。

名前は、当時「進撃の巨人」シリーズにちなんで命名していたので、仮名としてフーバーになった。「もちろん、うちには保護猫アッカーマンもヘーロスもマガトもいます(笑)」

フーバーちゃんは独占欲が強く、枕の隣で添い寝するのは自分だと決めている。他の猫が近寄ったり、添い寝をしようとしてくると、「面白くない」という気持ちを全開にした唸り声で蹴散らす。

「熱くなると布団から出て、寒くなると潜るを夜中に繰り返し、腕枕までされて眠っています」

フーバーちゃんは個人ボランティアが子猫の頃に保護して里親を見つけたのだが、去勢を怠った飼い主は、マーキングをするからと保健所に持ち込んだという。

「人懐っこい性格ということで譲渡対象となり、センターへ移動となりましたが、猫エイズキャリアが発覚し、ご縁に恵まれませんでした。私のブログでフーバーを見た個人ボランティアさんが、保健所に持ち込まれたフーバーをずっと探していて、自分の探していた猫ではないかと連絡をくれました。確認したところ、保健所持ち込みをしたのは譲渡した相手だったことが分かりました」

人間の勝手な都合で振り回され、悲しい思いをしてきたフーバーちゃんだが、今でも人を信じていて、大きなたくましいキジトラ猫になった。

「猫エイズキャリアへの理解は低くなかなかご縁がありませんが、人を笑顔にしてくれるフーバーには幸せなご縁を結びたいと願っています」

(まいどなニュース特約・渡辺 陽)

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