「新幹線のカオスぶり、棚を見てくれ」オーバーツーリズムに警鐘!対応が間に合っていないインフラの現状

JR東海は、2023年12月28日~2024年1月4日の年末年始期間、東海道新幹線および山陽新幹線「のぞみ」号を全席指定席で運転することを発表している。

だが、訪日客数が急増している中、この事実は海外からの観光客に周知されているのだろうか?そんなタイミングでこんなつぶやきがX(旧Twitter)に投稿され、大きな話題になっている。

「東海道新幹線のカオスぶり、棚を見てくれ。ルールがさ、日本人が使うことしか想定していないから運営が破綻するんだよ~」

そうつぶやき、yukapo(@yukapova)さんがXに投稿したのは、左右の座席の上の棚にびっしりと、海外からの観光客のものと思われるスーツケースが詰め込まれた様子。

■棚の上に置けない特大荷物は「予約」必須

右側の棚にはスーツケースがぎゅうぎゅうに収まっているが、左側の棚の上からは、黒の布製バッグと黒のスーツケース、そして左手前のピンクのスーツケースが大きくはみ出している。JR東海の公式サイトによると、3辺の合計が160cm超250cm以内の荷物は「特大荷物」となり、「特大荷物スペースつき座席」及び「特大荷物コーナーつき座席」の予約が必須となる。だが、棚からはみ出しているということはおそらくサイズオーバーであり、明らかなルール違反では。

JR東海の公式サイトによると、荷物棚に収納できない「特大荷物」を持ち込む場合は、どうしてもその列車に乗る必要がある場合でも、必ず「特大荷物スペースつき座席」か「特大荷物コーナーつき座席」の事前予約が必要だと明記されている。最後部座席の後ろに「特大荷物スペース」がついた車両は、16両編成の「のぞみ」「ひかり」「こだま」のみとなる。果たして、訪日客にこのルールは周知されているのだろうか?

■オーバーツーリズム対策が急務!日本人客への負担はお門違い

yukapo(@yukapova)さんは続けて、急増するインバウンド客の数に対して、インフラやファシリティの対応が追いついていないことに警鐘を鳴らすポストを投稿。

「160センチ以上の荷物持込みは特大荷物付き座席を買う必要がある。加えて、特大荷物付き座席を買わずに持ち込んだ場合は1000円払わないといけないルールになっている。棚にこれだけスーツケースが溢れているんだから、最後尾スペースが溢れかえっているのは想像に易いでしょう。違反している客が全面的に悪いとは言わないけれど、ルールを真面目に守っている人が損する状況(特大付きが空いてないから1本ずらしたりとかね)。問題の本質はこれだけ荷物を持った人が多く乗ることを前提としていないルールが形骸化しており、その結果として現場ではルールが守られていない。これを運営の破綻と指摘している」

「インバウンド!と持て囃すのはいいが、オーバーツーリズム対策は一丁目一番地。これは、いちレジャー施設とかいち宿泊施設とか個人事業主とかがどうこうできる問題ではなく、国・自治体・業界団体・インフラを担う大企業が取り組まなくてはならない課題。それを怠った結果、日本人旅行客に負担がかかるのはお門違いなんだよ」

これを受け、多くの共感のコメントが寄せられた。

■はみ出た特大スーツケース、訪日客に周知されないルール

「綺麗に収まってるけど、後から来たら絶望感。ぱっと見綺麗に見えてる右の棚より、左側のピンク色のはみ出てるスーツケースが落ちてこないかヒヤヒヤする」

「もうちょっと荷物乗せれる設計にはできないのかな?観光客増やすなら必須だと思うけど」

「JR東海は新幹線は通勤列車の扱いなんでしょう、旅行者の荷物なんてまるで考えてないような。社畜用シートより荷物置き場を作って欲しいな。鍵付き予約必要な有料のではなく」

「なぜか日本は、外国人にも日本人のルールが適用されると思ってますが、相手側はそんな事知ったこっちゃないので、明文化することが大事ですね。ビジネスもプライベートもジャポンは『察してちゃん』が多すぎる...」

また、「特大荷物」の予約をしていても、ルールを知らない/ルールを無視した訪日客が勝手に荷物置き場を使用していたことから、トラブルになったという声も多く寄せられた。

「この前新幹線で旅行した時、行き帰りどちらも特大荷物スペースが勝手に使われてて、腹立って駅員さんにチクった。床に『こちらのスペースはご予約のお客様用です』的なこと書いてあるのに読めないのかよ、と思ったけど外国人だったんかな。日本語読めなくてルール守る気ないなら来ないで欲しいわ」

「ワタシも同じ経験しました。車掌さん呼んで撤去してくれるようにとお願いしましたが、その車掌さんの外国語がとても下手くそで質疑応答できず、泣く泣くあきらめました。ここは日本です。せめて外国語(3カ国)くらいペラペーラの車掌さんを配置して欲しい。そもそも車掌さん、減りましたよね?」

「同じく。この前ツアー客がやってたから半ギレで注意したら舌打ちされてどかしてもらったけど、舌打ちしたいのはこっちだと思ってしまった」

「予約しても他の予約者が先に使ってることもあるとか窓口で言われたことあります。単なる予約で絶対に使えるとは言わない謎ルール」

■日本人乗客の良心に依存したルールはトラブルの原因に

コメントの中には、「綺麗にスーツケースが収まってる印象ですが」「どこがカオス?」という声も見受けられた。

だが、写真に写る右側の座席は13列が2席ずつの計26席。そして右側の棚の上のスーツケースは計13個。右側席の乗客のうち何人かが、左側座席の上の棚に自身のスーツケースを乗せている可能性も考えられる。実際に筆者は、指定席の反対側の座席上の棚に自分たちのスーツケースを乗せた訪日アジア人客が、車掌から注意を受けている様子を、東海道新幹線内で目撃している。

JR東海の公式サイトによると、事前に予約した場合でも、「特大荷物スペースつき座席」(最後部座席)を利用する際は、予約した乗客同士で共用しゆずり合って荷物収納をするよう求められている。しかし、寄せられたコメントにもあるように、日本人乗客の良心に依存したルールは、言葉やルールが通じない訪日客とのトラブルの原因となる場合も少なくない。

今回のyukapoさんの投稿にもあるように、東海道新幹線内に設けられた規定内の荷物を収納する棚や、特大荷物のためのスペースやコーナーも、もはや訪日客の急増に追いついていないのが現状だ。

「現状ルールでは、3辺の合計が160cmを超えない限り、特大荷物座席を予約することなく自由に持ち込むことが可能となっています。それは投稿した写真のように、大人数が同時にスーツケースを持ち込む場合を想定したルールなのでしょうか? もし160㎝以下のスーツケースを20~30個、新幹線車内に一気に持ち込まれた場合、さらに大変なことになると思います。それほどまでに旅行者が増えており、これに伴ってルールを見直す必要性が高まっているのではないかと思います」(yukapoさん)

国は「観光立国推進基本計画」を掲げ、さらなるインバウンド収益の増加に懸命だ。しかし現状は、インフラやファシリティの対応も含め、「持続可能な観光」は困難な状況と言わざるを得ない。

(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・はやかわ かな)

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