「事実でないことが、さも事実のように…」「寒気がする」宝塚の演出家が報道批判 一部ファンや元ジェンヌからは「勇気ある発言」に感謝の声
宝塚歌劇団(宝塚市)の演出家植田景子氏がこのほど、自身のInstagramを更新。劇団員の女性が9月に急死した問題と、その後の劇団の対応や会見をめぐる一連の報道について、「私の周りにあるリアルではなく、メディアによって脚色された上部の虚構でしかない。事実でない事が、さも事実のように世の中に広がっていく怖さと、何も言えない虚無感…。」とした上で、「週刊誌が掲載した文言そのままに、事実に反する内容を、テレビや新聞が平気で報道していることに寒気がする」と批判した。
植田氏は宝塚歌劇団初の女性演出家として1998年にデビュー。これまで数々の大劇場作品を手掛けており、2018年にはエイボン女性賞年度賞の芸術賞を受賞。宝塚への愛や創作秘話などを語った著書もある。
「報道が真実を見えなくしている」とする投稿の中で、植田氏は「日本の報道は、一方の偏った声ばかりを広げ、その声が大きくなったら、対立する声はバッシングされるだけ。それが怖くて、対立意見は声を潜めるしかない。それが健全な報道なのだろうか?」と疑問を呈し、「世論を動かす力を持つ報道が、誤った認識を人々に広げていたとしたら、報道が禍いを生み出し、二次被害や冤罪を作りかねない」と厳しい言葉を連ねている。投稿には、テレビの画面に大きく「報道禍」と書いた画像を添えており、植田氏の強い憤りがにじむ。
また、「報道事実を曲げずに描写すること」「報道する者の意見を含まないこと」「意見が分かれる事柄は一方の意見に偏らず報道すること」という客観報道の原則を引用して「違反だらけやん…」と嘆息しつつ、「#日本の報道はここまで落ちたか」「#言った者勝ちの現状」などのハッシュタグを付けた。
植田氏の投稿には、報道に不信感を持っていたファンと見られるアカウントから「声をあげてくださりありがとうございます」「勇気ある投稿をありがとうございます」「先生のおっしゃるとおりです」「救われました」といったコメントが寄せられている。また、宝塚の元男役スターも投稿内容に同意と感謝の思いを示し、「20年間宝塚の世界で過ごしてきた真実とは異なる世界がテレビで繰り広げられています。連日の偏った報道により私の人生の20年間が、突然かき消されていくような錯覚を覚え、恐怖を感じています」とコメント。先輩や下級生、指導者らに「深い愛情」で接してもらったという思いが強いだけに、「悔しくてたまらないです」と苦しい胸の内を明かした。