家計に占める食費の割合、どれくらい? 世帯主の年齢・年間収入別の実情は【FPが解説】

「食費」は家計支出の中でも占める割合が高いもののひとつです。子どもが生まれるなど、家族が増えるにつれて負担も大きくなりますし、物価の上昇が続く中、少しでも減らしたいと考えている方も多いかもしれません。一般的な食費の平均額を知ることで、ご自身の家庭の食費のあり方を見直すヒントにできるかもしれません。各種統計の情報を紹介するとともに、FPの立場から「節約するコツ」について解説します。

■統計にみる「食費の平均額」は?

▽3人家族の1カ月の食費の平均は約7.8万円

2022(令和4)年の国民生活基礎調査(厚生労働省)によると、子どものいる世帯の子どもの人数別は、1人が49.3%、2人が38.0%、3人以上が12.7%となっており、子ども1人世帯がもっとも多くなっています。「両親と子ども1人」といったような「3人家族」についての食費はどのくらいが一般的なのでしょうか。

総務省統計局「家計調査年報(家計収支編)2022(令和4)年」によると、3人家族の食費の平均額は7万8,754円です。家計の消費支出に占める食費の比率をあらわす「エンゲル係数」は24.5%で、支出の約4分の1を占めていることがわかります。

▽世帯主の年齢別での平均額

世帯主の年齢によって食費が変わるのか見ていきましょう。

「~29歳」から「50~59歳」の世帯人数を見ると、3人程度となっています。

世帯主の年齢が上がるに連れて世帯人数も増え、食費も多くなるのがわかります。

エンゲル係数を見ると、「30~39歳」は26.6となっており、支出の4分の1以上を占めていることもわかるでしょう。

また、「60~69歳」「70歳以上」は世帯人数が3を下回っているにも関わらず、エンゲル係数が26.1、28.6とかなり高めです。

このことから、仕事を退職して家で過ごす時間が増え、食事が楽しみの一つになっている可能性も考えられます。

▽年間収入別での食費

次に、年間収入別で食費に差があるのかを見ていきましょう。

年間収入が上がると同時に世帯人数も増え、食費も増えていくのがわかります。

エンゲル係数を見るとすべて25%を超えており、「350万円以上400万円未満」では29.2%と約3分の1を食費が占めています。

▽子どもの年齢と食費の目安

家族に子どもがいる場合、子どもが赤ちゃんなのか、高校生なのか年齢で食費が大きく変わってきます。

また、性別や個人差もあり、子どもの食費が一概にいくらと断言はできません。

目安としては次のとおりです。

【乳幼児の場合】

食べる量も少ないため、大人2人のときと変わらないぐらいでしょう。しかし、離乳食を購入する場合は多めに見ておきましょう。

【小学生の場合】

低学年の頃は多めに作るぐらいでいいでしょうが、学年が上がるにつれて食費も上がっていきます。

【中学生の場合】

まさに食べ盛りです。大人0.7~1人分程度の食費を見ておきましょう。

【高校生の場合】

大人1人分、もしくはそれ以上の食費がかかることが予想されます。

食費は子どもの年齢によっても変わりますが、目安としては手取りの12%~16%とされています。あくまで目安のため、参考程度にしましょう。

■食費を節約するコツ

食費を節約するコツについて、2つご紹介します。どちらも「当たり前」のことですが、こういったことをしっかりと守れるかどうかで、家計の額は変わってきます。

▽食費の予算を決める

まずは食費の予算を決めましょう。予算を決めることで、無計画な買い物を防ぐことができます。

予算を決めるときには、家計の状況や家族の人数、ライフスタイルなどを考慮して決めることが大切です。

また、1カ月ではなく、1週間ごとに管理するのがおすすめです。祝日がある週は多めにして、翌週は減らすといった調整ができます。

▽買い物は計画的に

「買ったことを忘れて、冷蔵庫の奥からしなびた食材が出てきた…」なんていう経験はありませんか?

冷蔵庫の中身が多くなると、食材を把握しきれなくなり、ロスを出してしまいがちです。

消費者庁の「2022(令和4)年・第2回消費生活意識調査」によると、「まだ食べることができる食品を捨ててしまうことがありますか?」という質問に次のような回答が出ています。

・「時々(月に数回)捨ててしまうことがある」 18.6%

・「頻繁(週に数回)捨ててしまうことがある」 2.2%

また「未開封・未使用の食材・食品を捨ててしまった理由は何ですか?」という質問には以下のような回答となっています。

・「消費期限が切れた」 29.2%

・「保存していることを忘れていて、傷んでしまった」 28.9%

・「保存方法が不適切で、傷んでしまった」 20.9%

せっかく購入したのに食べずに捨ててしまうのはもったいないですよね。

今は冷蔵庫にカメラがついていて、外出先から確認できるものもありますが、買った食材を使い切れるよう、あらかじめ献立を立てておきましょう。

事前に献立を決めておくことで、「今日何作ろう…」と悩むこともなくなります。お子さんがいるご家庭は献立表をヒントにするのも考える手間がなくなり楽ですよね。

■食費を節約する際の注意点

食費の節約は家計にとって大きな助けとなりますが、気をつけなければならない点もあります。

▽食事の質が低下する

食費を節約しようとするあまり、食事の質が低下してしまうことがあります。

よく「かさまし食材」として、キャベツやもやしなどが取り上げられますが、そればかり食べていては食事の質が下がってしまいますし、楽しみもなくなってしまいます。

また、食費を節約するために、食事の量を減らすのも危険です。我慢はストレスが溜まり、反動で間食が増えたり、暴食をしたりする可能性もあります。

まずは使い切れる量の食材を買うこと、そして買った食材を無駄にしないこと、この2つを守るだけでも食費の節約になるでしょう。

▽栄養不足に気を付ける

食費を安く済ませることばかり考えていると、栄養バランスが崩れたメニューになってしまう可能性があります。

何をするにも身体は資本です。栄養不足になると、病気になりやすくなり、場合によっては治療が必要になるかもしれません。万一入院なんてことになれば、さらに医療費がかかります。

食費の節約は無理せずできる範囲にし、栄養バランスの取れたメニューになるようにしましょう。

■生活費を見直すコツ

確かに食費は家計の中で大きな割合を占めるものですが、健康面を考えると、食費を節約するにも限界があります。食費を見直すよりも効果的なのは生活費の見直しです。

特に固定費は、一度見直しをすると効果が持続し、節約の実感も感じやすいのでおすすめです。例えば、スマホ料金の見直しや格安SIMへの切り替え、サブスクリプションの解約などがあります。無駄なものはないか、見直してみましょう。

固定費を見直したら、変動費にも目を向けてみましょう。変動費は、今回取り上げた食費や交際費、レジャー費などが当てはまります。

しかし、変動費は生活の質に関わる部分です。「節約しなきゃ!」と下げすぎてしまうと、生活そのものが楽しくなくなってしまいます。

節約や貯金のことばかり考えていると、お金そのものに価値があるように感じられてしまいますが、大事なのはお金と何の価値を交換するかということです。

何の価値を得られるのか考えながらお買い物してみると、自分を見つめ直すきっかけにもなるでしょう。

(まいどなニュース/FPオフィス「あしたば」)

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