真夜中の富士山、暗闇に響く女性の声→山小屋スタッフが調べると… つきとめた正体に肩を震わせながら「やめてwww」

 富士山の山小屋で働く「ふじっぴ」さんが描いた漫画「山小屋生活であった話。」がネット上で話題を呼んでいます。真夜中の富士山山小屋に響く女性の声。一体、何が起こったのでしょうか。

■真夜中に女性の声で「ドゥユワナスタ~ンプ?」

 午前0時過ぎの富士山山小屋。登山客は寝静まり、泊まり込みで働くスタッフらも仮眠をとっていたときのこと。暗闇から突然、女性の声で「ドゥユワナスタ~ンプ? 焼印いかがですか~?」と呼び込みが聞こえてきました。

 焼印は「金剛杖」と呼ばれる木の杖に押すサービスのこと。山小屋ごとにデザインが違い、富士登山の記念としてスタンプラリーのように集める人も多く、特に外国人登山者に人気です。

 売店の営業はとうに終わっているのに、声は続きます。

 「ドゥユワナスタ~ンプ?」「あんぱん、バナナ、チョコレートもあります」「ハイ!焼印は300円です。ありがとうございます」

 目が覚めたふじっぴさんらスタッフは、声の発信源は同僚女性の寝言だと突き止めました。笑いをこらえ、肩を震わせながら「ねえコレ本当に寝言なの?」「会話成立してるよね!?」。

 数時間後。寝言の張本人に「働きすぎだよ」と声をかけるも、本人は「えっ?」。同様の寝言はその後も2度ほどあったそうです。

 読者からは「笑ったー」「わかるわ~」「うちの家族もこれです」「疲れが全部吹っ飛んだ」などの感想が寄せられています。

■繁忙期には焼印待ちの行列も

 富士登山オフィシャルサイトによると、富士山の山小屋は仮眠を取るための簡易宿泊施設。各登山ルートの五合目以上に40以上が点在し、原則として登山道が開通している期間中に営業します。ほとんどが男女相部屋の雑魚寝という環境です。

 5年ほど勤務を続けるふじっぴさんに話を聞きました。

──富士山の焼印は夢に出てくるほど人気?

 「はい、多いです。連休やお盆などの繁忙期は、昼夜を問わず焼印待ちの行列ができることもあります。全ての小屋の焼印をコンプリートさせたいと思っているお客様が多いので、金剛杖を持っている外国人登山者には必ず声をかけるようにしています」

──山小屋の仕事を始めたきっかけは。

 「かねてより富士山が好きで、毎年『見る富士』『登る富士』を楽しんでいました。何度も登るにつれて、まわりを見る余裕ができ、山小屋で働く人たちは一体どこからきて、どこへ帰っていくのだろう。シーズン中は一度も降りないのだろうかなどと気になり始め、気が付いたら私も『働く富士』を経験してみたいと思い始めたのがきっかけです。のちに応募して採用通知をいただき、会社を辞め、当時内定が決まっていた転職先も辞退しました」

──シーズン中の勤務日数は。

 「私は毎シーズン2カ月以上勤めています。小屋明け前の準備から小屋締めまで勤務する場合は、70~90日間ほど働く方もいらっしゃいます。シーズン中は一度も降りることはできませんので泊まり込みの集団生活になります」

──山小屋での主な仕事は。

 「予約受付や焼印などの商品販売、食事提供、ベッドメイキングなどです。(漫画に描いた山小屋は)当時24時間営業でしたので、日勤と夜勤のシフト制でした。休憩や仮眠時間はありますが、富士山の山小屋は基本お休みの日はなく連続勤務になります」

──地上の仕事とは違い、苦労も多いのでは。

 「休日がなく常に共同生活というところで、心身ともに疲労が蓄積され体調を崩してしまう人も毎年何人かいます。 また富士山では水がとても貴重なので、普段の生活のようにジャブジャブと使うことはできません。お風呂も基本は週に1回です。雨水が足りないときは入れないこともあります。ですので、大体のスタッフは下山したその足で温泉へ向かうことが多いです。水を思う存分使えることに心から感動します」

──富士山の山小屋だからこそ味わえるやりがいは。

 「日々の絶景はもちろんですが、宿泊者や登山者と同じ景色を見て、その場にいた人にしか味わえない感動を共有できることがうれしく、やりがいにも繋がっています」

     ◇

 ふじっぴさんのインスタグラム(ふじっぴ@fujippi)では、富士山での布団干しの光景や、山小屋から見える雲海のタイムラプス映像なども発信しています。

(まいどなニュース・金井 かおる)

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